今日もへっぽこ通訳が、行く!学校編

蕗子・フェレール

第1話 4月、新学期の始まりです。

16年程、とある県の教育委員会のスペイン語の通訳として、中南米系の子供たちが所属する小中学校に訪問し学習指導及び父兄への対応をしてまいりました。

このエッセイは、その仕事やってた時の覚書です。


やってまいりました新学期。学校通訳には早々と色んな小中学校から呼び出しが参ります。入学前の就学用品の購入案内。無論南米系の児童生徒がいる学校には早々と赴いて、就学用品リストを翻訳し、絶対必要なものと任意で購入するものを説明し、購入補助を行います。

ここで、ブラジルポルトガル語通訳から聞いた、困った父兄。この父親は何かというと「差別だ!」を連発し、南米系とも日本人とも問題を起こすので、派遣会社も雇いたがらず、仕事が長続きしない困りもの。で、その妻と言うのが、夫曰く「美人」。で、夫は妻を働かせて、他の男が近寄ってくるのを異様に心配し、仕事をさせないのだとか。でも、この奥さんを実際見たのですが、夫が心配するほど美しくはありません。むしろフツー、それよりコロンビア人女性の方がよっぽど美しいと思えます。だから、そのご主人の欲目と早すぎる老眼なのでは?と思います。

自分は文句ばっかり言って、仕事が長続きせず、自分のエゴで奥さんは無職なので、当然生活は苦しい。で、娘が入学するのに学用品は絶対必要。で、注文は出しましたが、学用品配布は現金と引き換えなんです。そこでそのお父さん、早速お得意の言葉連発!「差別だ!」しかし、外国人だけでなく日本人父兄にも全員代金引き換えで配布しているので、当然そんな自己チューなクレームは受け入れられませんでした。そして学用品が揃わぬまま、入学したのですが、そこから、家族総出の自分勝手が炸裂したそうです。(教頭先生から散々ぼやかれました。)児童は、朝は集団登校で、皆で歩いて登校してください、と説明してるのに、そんな指導もどこ吹く風で、母親が自転車の後ろに乗せて登校。登校指導する先生が、そういうことは認められない、と言うと、翌日から自転車に乗せてきた娘を少し手前で降ろして、何食わぬ顔で歩いて登校させてたそうです。

その後、この父兄は何を思ったか、途中で、市内にあるブラジル人学校に娘を編入させたのですが、しばらく後に市役所の外国人窓口のポルトガル語通訳にクレームの電話してきて、「あの学校はお金取るだけで、何も教えないんです!こんなの泥棒だわ!」と、のたまいました。それ聞いた私達学校通訳は、「お金取るだけ、っていう割にはちゃんと学費払ってるんだろうか?」と突っ込んでしまいました。この家族はリーマンショックの時の政府の帰国推進事業でブラジルに戻ったようですが、本国の親戚たちからも煙たがられてる存在だそうで、親戚の一人が、(彼の母親が、この父親の叔母なのだそうです。)「我が家に頼って来られたら困る!」とぼやいておりました。


とある小学校から連絡がありました。母親がペルー人、父親がブラジル人の男の子が入学したのですが、この男の子がいつまで待ってもランドセルを持って来ない。どういうことですか?とのことでした。この小学校には外国人生徒はほとんどおらず、その父兄が就学前説明会に来た時も、外国人が入学した前例がないので、私を呼ぶこともなかったようです。それで、日本人なら当然の、「小学校に入るにはランドセルが必要」という認識を説明することができなかったそうで。。。。。。私は母親に連絡取って、ランドセルの購入について説明しましたが、やはりそういう知識はなかったそうです。この母親は私の言う事には素直に理解を示してくれるから良いのですが、数年前に中学校への入学手続き補助をしたペルー人生徒の父親は「お前は外国人なんだから、学ランなんか作る必要はない。」と息子に吹聴してしまったのです。当然それでは困ります。中学校の制服着用が如何に大事で、それを買うために児童手当が支給されてるんです、と説明するのにも骨が折れました。結局制服は購入されました。

又、あるチリ人女子生徒の親は、「お金がないから、制服作れません。」と平然とのたまい、娘をジャージであらゆる式典に出席させていました。全生徒制服着用の中にたった一人ジャージで参加で居心地の悪さを感じた娘、なんとその後のある日、部活中の運動部の部室に忍び込み、自分と同じ体形の生徒の制服を盗んだようです。ちなみにこの娘、かなりの肥満体形です。制服を盗まれて窮状を訴える日本人生徒、翌日から何食わぬ顔で制服着てきたチリ人生徒。誰が盗んだかは明白なのに、そのチリ人女生徒は、「知らない女の子が制服をくれた。」の一点張り。確たる証拠がないので、学校側もそれ以上追及できず、制服盗まれた日本人生徒には学校側が制服を購入したそうです。後日教頭先生と校長先生に事の顛末聞かされて、私は目が点になってしまいました。

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