第一章    封印の祭壇

「痛たたたっ‥‥‥随分落ちてきたな。」

激しく落ちてきた少年はルーネス。白髪で髪を後ろでまとめているのが特徴的だ。ルーネスは村に住んでいる孤児で、村の長老トパパに育てられた。冒険好きでよく村から離れた平原を探索している。今回もいつも通り平原を探索していると、いきなり地面が崩れた。そして今に至るわけだ。

「ここは洞窟か?」

幸い、辺りは松明によって照らされているおかげで薄暗くも地形は把握できる。

「しょうがない、出口を探すか。」

ルーネスは道中にあった宝箱を開けながら進んだ。モンスターとの戦闘もあったものの宝箱から出てきたロングソードを両手に装備し難なく倒していった。不思議なもので、モンスターを倒すと黒い霧となって消えるのだ。そして、アイテムがドロップする。

「よっしゃー!ポーションGET。」

しばらく歩いていると、やはり簡単には進ませてくれないようだ。

「行き止まりかぁ。他の道に‥‥」

その時ルーネスは気づいた。

「あの岩なんか、他の岩と色が違うな。」

色の違う岩をルーネスが動かすと、道を塞ぐ壁がまるで幽霊のように消えていった。

「なるほど。こうゆう仕掛けもあるってことか。」

先へ進むと今度は古めかしい扉を見つけた。真ん中には宝石の絵?のようなものが描かれている。そして扉の右側には美しく透き通った泉が湧いていた。

「丁度喉乾いてたんだよなー。飲んでくか。」

ルーネスは泉の水を勢いよく飲むと不思議なことに、蓄積していた疲れが嘘のように消えてしまった。

「お!なんか調子良くなったぞ!このまま扉の向こうへと!」

扉の向こうは実に奇妙だった。フロア全体が青白い炎で照らされている。そして、その奥の祭壇で圧倒的な存在感を出しているクリスタルが見える。ルーネスは引き込まれるようにクリスタルに近づき手を伸ばした。その時、黒い霧がルーネスを襲った。

「くっ!何だ?」

やがて黒い霧は正体を表した。

「ランドタートル!!」

驚くのも無理はない。ランドタートルは上位モンスターだ。生半可な攻撃は全て無効化される。

「ちっ!何でこいつがここにいるんだ?」

考える暇も与えずランドタートルは噛み付く攻撃をしてきた。

「でけぇくせにはえぇな。」

思わず笑ってしまうような強さだ。さらに今の装備では歯が立たない。ランドタートルは連続で爪攻撃をしてきた。ルーネスはそれを両手の剣でさばいていく。

「こいつの弱点はなんだったか‥‥」

尻尾の突き刺し攻撃を紙一重で躱す。

「そうだ!こいつは魔法に弱い!特に氷魔法だ。」

ルーネスはポーチからアイテムを取り出した。敵に強力な氷魔法を与える消費アイテム(南極の風)を。南極の風をランドタートルの甲羅に投げつけると甲羅の一部分が破壊されて皮がむき出しになっている。

「しゃーーーーーーーーー!!そこだーーーーー!!」

ルーネスはそのチャンスを逃さず弱点に剣を深く突き刺した。

「きょぉぉぉぉぉおおおおおお!!」

ランドタートルの叫び声が洞窟内に響いたそして黒い霧となり消滅した。ルーネスは勝利に安堵した。

「勝った‥‥生きている‥‥。」

【お前は選ばれた。】

「誰だ!?‥もしかして、このクリスタルが話しているのか。」

【如何にも。ルーネスよ、お前は選ばれた。3000年前、光の暴走により世界のバランスが崩れた。そのバランスを取り戻すために4人の闇の戦士がクリスタルの導きによって集められた。そうして1度戻されたバランスだが今、魔王ザンデによって闇の力が大きくなりつつある。このままでは闇が暴走し歴史が繰り返されてしまう。止めるのだ、ルーネスよ。】

「俺だけで止めれるわけ無いだろ!それに‥」

【光の戦士は4人いるお前は残り3人の光の戦士を見つけるのだ。】

「どこに居るんだ、教えてくれ!」

【さあ行け!光の戦士よ!】

「待ってくれ、まだ聞きたいことが‥」

ルーネスは光りに包まれた。気がつけばそこは、さっきまでいた平原だった。

「何だったんだ?光の戦士とかなんとかって‥」

ルーネスは多くの疑問を抱えながら村へ戻るのであった。

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