鬼の末期
鬼は欲張りだった。
東に宝があれば奪いに行った。
西に美女がいればさらいに行った。
鬼は強かった。
いかな名刀もへし折る体を持っていた。
山を持ち上げる力があった。
鬼は飢えていた。
大樽に入った酒を飲みほしても酔わなかった。
千の皿を空にしても腹をすかせた。
鬼はわからなかった。
花を愛でる気持ちを。
別れを悲しむ気持ちを。
鬼はただ生きていた。
死んでいないだけだった。
ある日、どういうわけか鬼は死んだ。
死ぬとき、鬼は言った。
「ああ、やっと終われる」
鬼は笑って寂しく死んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます