第十五話 相談

「セリへの勧誘と引き留めだな。」

「つまり、ロードを引き止めておきたい?」


会議後かなりの人数に集われたらしい。

力で捌くのは難しく、気分的に疲れたと言った雰囲気だ。


ロードに働きかけるより、セリを抑えた方が御しやすいと思惑が透けて見える。


「お疲れ様。」


ぎゅうっと抱きしめるとほっと息をついた。

どうでもいい会議に、そうでも良いやつらに行く道を邪魔されただけだ。セリの元へ戻る時間を取られたのには苛つくが。


こう慰めてくれれば役得かもしれない。


その思考を正確に読み取れたカナンはやれやれと思いながらも邪魔はしない。


尻尾を凍らせたくはない。しかし、ほどほどにが嫌われないぞ?護衛としても気になる部分なので、セリちゃんに聞いてきた。


「なんか対策いる?」


「告げ口しよう」

近づいて欲しくないリストに載せる。


上の人に言っておけば、何かあっても便利。


それは相手の事だろうか?竜人ロードに力で勝てる奴はいない。それを止めなきゃいけない護衛の立場がちょっとウンザリ、イヤになった。


「最悪を防げるかもね?」


シュルトも賛成のようだ、もしかして被害に遭ったのかもしれない。どこからか、『極北の城』を出るつもりだと情報が漏れているのか?


ただ、荷物から遠征に出ると思われている可能性もある。

獣人の国に帰る商人達は、余計に接点がなくなる。騎士も入っているのは、背後関係に何かあるのだろうか。


情報部で調査されそうだ。


それは大人の事情として、セリの方はと言うと。


「頼っちゃ迷惑?」

「いや頼ってくれ」


この城のトップに話をつけていた。そしてアクレイオスが言い切った。

“孫が可愛いお爺ちゃん”状態らしい。


「見た目はお兄さんで通るのに。」


お礼と言うほどの物ではないが、

「お守りあげれるかな。」

「効果はどーすんの?」


「肩凝りが少し楽になる、とか」


温まるようにする首に置く厚みのない枕をイメージした。反応はイマイチ。

「それ、かあ。」

「身を守るより使えそうだと思った。」


「何が欲しいと思う?」

「昼寝用の枕?」


キースの要望をは別で聞いて作ってみようか。

「疲れてる?」


「サボりたいほうじゃねーか?」


訪れるのが多くてうっとしそう。極北の城を出る地一部に漏れている様子。どこからか調査中。


「準備してたからカシラ。」


「“戻ってこないなら”と言い切った者もいた。」


「掃除が残ってた?」

「予測か、情報かどっちカシラ。」


「面倒なのは特定できるか?」

「うん。邪魔なら…ね?」


温かい部屋の筈なのに、少し寒くなった。それは、ロードの魔力だけのせいじゃないらしい。

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