第七話 困った事?
甘い物を食べ、気持ちが回復した。
ロードが用意してくれ、たっぷり甘やかしてくれたのを味わった。
言い掛かりだと思う商人の勢いに疲れていたようで、ちょっと癒されたセリだった。今後は、文句を言いにきた商人とは面会を断れる。この問題の対処は大人に任せた。
他の事を考える。
「教会にも送れると良いけど」
レシピと一緒に送ればシスターの誰かが作れると思う。回復薬を作っていたから技術はしっかりある。基礎を教わったのはシスターからだ。
「材料も採取できる物だな」
「うん。作れれば使うシーンも多いと思う。」
悩んでいた冷えにも使ってくれるだろうか?小さい子のよく腫らしていた手足の指も良くなるかも。それなら使い勝手をもっと良くする方向で。
「シュルトの言っていた通り、クリームに入れてみようかな」
まず自分用に、試作してみてシュルトに見せに…
「ソレ売れるわヨ?」
後ろに居た。
「似たのがあると思うよ?あったかいお風呂の薬湯から発想を得てるし」
手の荒れに使う塗り薬みたいに、各家で作られている。
「水かお湯に溶かして使うって真新しいし、安全性もあって人族が使えるてのがポイント高いワ。」
「他にもあるんじゃないの?」
兵士とか、衛生士が持っていそうだ。いや、お湯を出せる魔道具ってのがあった。熱くって雪で冷まして使うやつ。元は氷を溶かすのに使っていたらしい。
「効力が弱いって取れるけど、急激なものより良いところもあるのヨ」
じんわり効くくらいのもののが、セリ自身も使いやすいと感じて材料の組み合わせを考え始めた。
その様子に、シュルトが少し心配になって声をかける。
「セリ、嫌な事があったら相談してネ?」
あの商人の事を気に病んでいるのかと思い至る。
「便利だったり、使いたい人がいれば作りたい。」
安定させるのが難しいからレシピ登録を使うけど、何か作るのは楽しい。
「楽しいなら良いのだけど、困ってる事でも話すと気持ちも楽になるから覚えておいてネ?」
シュルトの善意だろう。商人は利益を追求するけど信用を重んじる人もいる。シスター達のように信用のおける人。
ちょっと、こしょぐったい気持ちもあるけど。
困る、困っている?事もはある。ちらっとロードの姿を見つつ、相談してみる事にした。
香りの良い紅茶が用意され、机の上に花が飾られる。
「お話しまショ?」
マナーと社交のお茶会とは雰囲気の違った、気楽にお茶する方が新鮮に感じるセリだった。お腹はいっぱいなので、クッキーに手が出ないのが惜しい。
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