第三話 普段です

膝の上。

あむっと口に運ばれたデザートを咀嚼する。

セリを膝の上に乗せ、ご満悦のひと時を送っているロードだった。


我慢した甲斐があると言っているが、ここまでにするのも大変だった。

「…周りが。」


カナンが何か言った?これから人との出会いのある場所にセリが出ていくにあたって、ロードの暴走をとめるのに、躾けが重要。


そうシュルトからの話にまずはこの給仕行動、アーンするのがちょっと減らせた。

「愛情表現のひとつらしく、人前でやっていい時と悪い時があるって」


“独り身の前でやってくれるな”と言う、見せつけを回避しよう。


渋るロードとの話し合いの中、ツルさらっになったセリの髪や肌を楽しそうに触っている。ちょっと自慢なセリも可愛かった様子。


『ラブラブだわ』と言われるくらいくっついていたらしい。感覚がマヒしている自覚を持つのが必要だと感じた。


竜人の番への衝動は良くも悪くも大きく、四方八方と困る。止められるようにしておくに限ると、特訓中だったりする。



セリから『習ったマナーを活かしてみたい』とやんわり拒否した時、ロードの凹み具合が大変だったと記しておく。


今後、ロードの膝の上から隣に座るのが目標だ。


「いつになるカシラ?」

「そのままのが平和だよな。」


シュルトとカナンは、協力できないと言われている。

私との距離感や決め事を決めていく方が互いに良いそうだ。


長い関係が続くのがセリには想像できなかった。

「俺の唯一」

ちゅっとほおに触れる感触。離れる想像もできないと思った。



「王都の学園でグスタフの講義を受けることになりそうネ」


グスタフの部屋に来て、シュルトがお茶を淹れてくれる光景にも慣れた。薬学の基礎の本を読み終わり、着々と勉強が進んでいる。


この地域の植物も覚えたので、グスタフの手伝いになっただろうか?

そろそろ新しい事をと調合の腕を磨くため、道具を借りていろいろやってみた。


お茶をブレンドして、淹れてみたり…

「俺の番が可愛い」


味見と、好みを教えてくれる。ロードは嫌いな味はあまりなく、甘過ぎるのが嫌なくらいか。


花茶を真似て、浴槽でやってみたり…

「掃除が大変?」

「魔法でやるからダイジョウブよ。花弁はなるべく流さないようにね?」


シュルトから聞いた話から、好みの色や香りの薬湯を目指してみた。

ロードが好みそうな香りで。


薔薇の湯というのがあるのは知っているけど匂いが強くなりすぎて、気が進まない。


香りを抑えるか、混ぜてみようかと思っている。試す場所を考えないとな。


回復薬の効果を湯で、風呂の薬湯でできないか?


ゆっくり過ごした。

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