変化と変調⑤
なんかオレ、受け入れられちゃってるんだよね?
『狼獣人はトラブルばかり起こす』
『犬じゃないのかよっ騙された!』
獣人の中でも、全獣化なんて御伽噺の域だ。皆、怖がる。
まずね〜、こんな得体の知れない狼をセリちゃんが、丸洗いしようとしてます!
「ほら、背中終わって尻尾も!」
(む、ムリ!こしょぐったいから)
「セリ、もうお湯かけちまおう。」
「うんいいよー。」
「アゥぅウウウッ(よくねえええ!)」
ロード付きで、洗われました。セリちゃんは嬉しそうだけど、びしょ濡れで細くなる毛が重い。
細くなるのを揶揄われるのもキライだ。
「シュルト、タオル使って良い?」
狼のオレ用シャンプーを用意したのはシュルトだ。作ったのはグスタフらしい。無香料、低刺激の大容量の液体石鹸…手製?
調合もやるからって作ってくれたらしい。良い泡立ちだったが、わざわざ作ってもらわなくても。
「片手間だ。」
あー、ありがと。
オレのためってより。セリちゃんの要望かな?支払いはロードでは別に何も思わないけど。
乾かすの大変なんだよなあ。それさえ楽しそうにやってくれて、仕上げはシュルトが乾燥機って魔導具でやってくれたけど。
お蔭で、ロードがイラついてる。膝の上に座っているセリちゃんが楽しそうに話のも後押ししてな。
ボソボソと『毛皮、カッテヤル』は恐怖。
寝ている間にやったら、告げ口するからな?
念のため狼の時は側で寝かせてもらおう。
ちょっと冷気が出てるぞ。セリちゃん風邪ひくから抑えろよ。
オマエも変貌ぶりが凄いな。どこに行ったよ氷の竜人。
『全てを貫く氷、その魔力と強靭な力に冷徹な心を持つ』
誰の事だよ。竜人はだいたい強いけどよ。確かに人付き合いってのはなさそうだったが、冷徹ってほど人と関わってないよな。
シュルトとも話すし。
まあ?大抵、名前が知れ渡るってヤツは変だけどよお。戻ってから聞いてみたのよ。
「オレに警戒しないのか?」
「別に。護衛なら問題ない。いや、セリと毛皮で寝て良いかは別だからな!」
そこじゃない。シュルトは慣れてたし。
「噛まない狼なんて、邪魔な犬みたいなものヨ。」
噛むかよ。そんで犬じゃない。もっとやべえのは…
「魔力の質と量。制御はできてるんでしょ?」
キースと名乗った、貴人。オレの事をしっかり調べてある、まあ情報部所属では、調べも簡単?
上の方にはホイホイ情報が渡るだろ。秘匿情報なんてかんけいないっつーの。秘匿する方なんだから。
「回復魔法にも関係してそうでね、先祖返り?興味はあるけど。」
何?どんな興味??そっちの方はその気ねえからっ
「護衛としてよろしくね?」
終始遊ばれた。
まあこの関係性には居心地も良いし、刺激もある。
寒くたって、毛皮扱いくらい受けましょうかね。
さむっ
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