収支記録⑤

「よくよく考えれば、初の入国ネ。」


思えば遠くの国に来たワァ。ちょっと当初の予定より通り過ぎてるわヨ。セリのいたっていう教会までだと思ったら、グスタフの提案だし。調査だと言われたら付き合うわヨ!


獣道だろうが、山の中で魔物の巣に突入しようがネッ。


計画に入ってたのでしょうね。カナンが動じてなかったのも、決定権はキースにあるから想定内ヨ。


縁がない国でも、雪は同じように積もっているワ。合同の建物に、複数の教会があるタイプで周りに建物はない。


(ホントに、国境の端っこってカンジ。)

セリには縁がある所らしいケド、この教会だけ来たことがあるって話ヨ。


ワタシの系譜には流れはないと思う。獣人の国の方面で風の向くまま旅の商人だった両親は、多くに弟妹を迎えたし、雇い人も増やして行った。その影響で商会を大きくしたようなものだモノ。


こっちは、人族至上主義って風潮が強くなって、余計にキナ臭いってウワサ。元々、地元の繋がりが強い地域で新参を受け入れ難い場所だったケド。


貴族が鼻にかける商売方法も、嫌いだし特に行きたい国じゃなかったカラ。それでも、知らない土地に来たと言うには浮き立つ気持ちがある。


「冒険も良いものネ」

危険に突っ込んで行くなんて、柄じゃないかもしれないケドそう思えた。


高台の景色は夕陽が綺麗だったわ。キースの転移魔法もじっくり見れた。これ、5人以上に高位魔術士が魔石と魔法陣を丁寧に設置してやっと、安定させられるって仕組みなのヨ。


単独でやれるって、規格外よねえ。

物流に使えればとんでもないお金が動くだろうケド。


利権争いが怖いワ。

その点、キースの権力で自由に使う権利を有しているんでしょうケド。


あの魔石、なんの魔物のカシラ?

ロードのとんでも品よりも変わっている気がする。


まあ、追求しない方が胃に優しいってこともあるワヨ。


アラ、魔力の注入上手いわねセリ。

制御が安定している必要がある。


水魔法は安定しているらしいて聞くけど、やれるかは別よ。


大きめの魔石の充填を頼んでもダイジョブ?お願いするワ。


帰ったらセリに依頼を出して、極北の城で売りまショ。

飲み水にもできる品質で、この大きさは売れるわよ〜。腕がなるワ。



慌ただしい冬籠りの時期もおしまいネ。今後の話が出たケドキースの掌の上ヨ。


予想外を起こす者が集まり過ぎている。退屈しなさそうね?

商機も逃す手はないワ。やってやろうじゃない。


セリの物を見繕うのも任せなさい?

ワタシが良いものを揃えてあげるワ。凄腕の商人なんだカラ、お代もしっかり貰って、毎度アリ。

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