キースの覚え書き①
転移魔法その整備に国費を割いても、お釣りが出るくらいには便利。交易に役立ち、交流も盛んに行われる。
それを単独で行える魔力量と理解を持つ意味?
別に、便利だなって話だよ。僕に強制できる者は居らず時たま要請が来るだけ。それも嫌なら断れる。
流石に、気乗りしないからとは答えを返さないけど。文官がね?
膨大な魔力とその方向、到達点で魔法陣を展開する。その理解がなければ起動できないのはそうだが、魔力自体は魔石で補える。
問題は到達点と、魔力の向きを制御する事。
イメージとしては、竜巻。
魔力による風の渦を方向をつけて伸ばし、魔法陣に乗った人や物を飛ばす。
説明はできるが、その全てを安定して実行するには単独での展開は難しい。
「らしいね?」
「魔力量によるごり押しだな。」
そう、専門的意見を述べられたけど?
僕のできる事のひとつであるだけ。
回復魔法。教義的に崇められやすい魔力属性。その影響で、教会で育てられた。性格はそこで捻くれたと思う。
つまらない世界だった。
だから、出て行った。
「権力持ちの子供が、行方不明って護衛は悲惨だな。」
「クビになるより、鍛錬させた方が総合的に得だよ?」
新しく付けた護衛は、馴れ馴れしい感じが気に入っている。
実際、抜け出した時の護衛は鍛え直して帰ってきた。警備もレベルが上がって、僕用の逃亡用マニュアルなんてできたらしい。
子供の時も、短い転移魔法はできていた。危険性も魔力で転移先を探れば問題は少ない。
特に、マーキングできればより方向付けが楽。
極北の城で運用される魔力、今回は議長のアクレイオスが居る。とても目立つ魔力は目標物としてちょうど良かった。
そもそも緊急事態だとだいたい呼ばれるんだから。私用で便利に使っても良いと思わない?
「魔力だって魔石と、魔力回復ポーションがあるんだから。」
「それで街に潜伏?見張りが居るな。」
「側に着く護衛と、もしもの街に置いておく見張り?」
そんなので、見つかるかと疑問だけど。という目で見たら自信満々に答えられた。
「容姿でバレるだろ。」
そういえば変装道具を買ったものの、魔法をぶっ放す子供でバレた。
「派手な魔法をところ構わずなんて、貴族か名の知れた冒険者ヨネ。」
シュルトのところで買った、変装は護衛に情報が流れる。影の護衛くらいは構わないけど、面倒なものはそうなんだよ。
攫われたら不味い要人という意識より、冒険者として扱ってもらった方が性に合うっていうのが今の着地点かな。
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