議長録④
運命神は、救済を司る。
運命に翻弄される命を見守る存在として、人の生に関わらないと言われているため加護を与えられる者は稀だ。
その運命神の加護を得ている少女。
過酷な運命への餞(はなむけ)それを受けている…12歳か。
「エルフの私にとっては、よちよちの子供と変わらないと思うのだが。」
「それはナイわヨ。」
シュルトがそう答える態度は、呆れているがエルフと人間の感覚には違いがあるらしいのは知っている。
エルフでもまだまだ修行期間。
親も師匠も居らず、この極寒の地を生き抜く術を持っているようだが。
「策謀は得意じゃなさそう?」
「そんなの、どう得意になるのヨ。」
キースも暇を見つけては、気になっている様子で接触も多くなっていく。意外だったのが、グスタフも興味を抱いた事か。
「研究者として優秀故に、興味がなければ顔も向けない男がな。」
「アラ〜、用事があるとなれば話を聞いてくれるから、楽なものヨ?」
商人に問題ない性格のようだ。
「私が後見になるが、あの子をどうすれば良いのか。」
「学ぶ機会があれば、しっかり進めると思うわヨ?」
「あのメンバーでか?」
竜人、狼獣人にキースと研究に没頭するグスタフ。
「ロードは置いといて、カナンは意外と常識的よ。後の2人は、そこまで交流があるカシラ?」
「興味がなければそうなるだろうが…」
「そんなに、興味を持たれているの?」
竜人の嫁という書物が出てから、竜人の番に関しては知った部分もあるが、面白い対象と見れる。その上、おまじないと呼ぶ由来が不明な技術を持つセリだ。
「性格も問題ないし、面白いよね?」
「アナタにそう言われるセリが可哀想ヨ。」
「ソウ?成長していけば、欲も悪くもなるんじゃない?」
それは誰にもわからないが。
「おまじないの起源はきになる、な。」
「エルフでも聞いた事ない物ナノ?」
万物を識ると長命な種族でも、知らないものはある。
「ああ。起こりから流れて、独自の進化があったんだろうな。いくつか似た物は思い浮かぶが、効果が良すぎる。」
「分析、新しい結果は欲しくない?」
それに頷いたため、キースの訪問は全面的に許可を出した。元々、ロードの対抗戦力であるなら、近くにいてもらって構わない。
しかし、極北の城の外にまで連れでるとは。
いや、魔木の観察は助かる。鑑定の魔法に専門的知識のあるグスタフ。その他メンバーなら火力に問題はない。
風に不穏な気が混ざっている。
このタイミングで、戦力も経験も豊富なメンバーが集まるのは何かの導きを感じずにはいられなかった。
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