20-部隊長

カナンの後ろ姿を見送った後。

セリはロードに片手せ抱き抱えられながら、散歩と洒落込んだ。

まず、歩いていないが。


寝ていた場所、魔導具を外から眺め雪のように白い建物をぐるっと回る。

カナンの寝に入っただろう部屋、セリとロードが居た部屋と中は見えないながら、ロードと確認しながら進む。


「窓でもあれば、もっと部屋みたいなのにね。」

「そうだな。穴を開けてみるか?」


冗談か本気か。セリはやってほしいと言えばやる。

「寒いからいいや。」


とセリが答え、強度にも問題が出る方法は回避された。今後、魔導具に関わった技術者が『窓を取り付けろ』と言われるだろう。できるかもしれない。


サクサクと足音を立て、夜のうちに降った雪に足跡が1人分つく。セリの望むままに、テントの合間を抜け、食事の準備をする場所を見る。


そして、一番の縁。北の砦が見える場所で止まった。ギリギリ拠点の範囲をでない地点。


セリが指を差しながら、あそこに何があるとロードに説明していく。


砦の様相だが、お貴族様の居住スペースもあった。4階部分から上。安全を考えれば、洞窟の中のが安全に思われるが。

『そんなところにおれん!』と言って、部屋が用意されたらしい。


砲弾などが置いてある、雪や湿り気を防ぐ壁。

部屋には良かっただろうが、砲弾や火薬の置き場がなくなったらしい。外に近い場所での保存技術がないため。洞窟へと保管された。


『コレであのバカ貴族を吹っ飛ばせば良いのによ!』

酔った兵士の決まり文句のようだった。


保存の方法、魔道具はどもない。兵力差質において段違いだとセリは知っている。


“無謀”

ここに住むのも、兵力としてあるのも。そういう人達がいた場所だと思っていた。


特に砦に思い入れもない。セリが入れたのは食堂と『秘密の穴ぐら』と呼んでいた場所への階段くらい。


それ以外は、通らないほうが良い場所。危険も面倒も避けたいので近づかなかった。


セリの興味は。山の内側に広がる『ドワーフの坑道』と新たに名前がついた場所に行きたい。


外の寒さを感じない場所。セリの好奇心を満たし、鬱屈した空気を入れ替えられた。彫刻、たまに見つかる物。


魔石のカケラ、逃げ出後ろ姿の小さな魔物。


『危ないから、せめて奥にはいくな。』


と言われていたセリの未到達地点。ロードというお供もいる今回は、“安全に奥まで行ける”。

セリは楽しみなのを隠さなかった。


隠さなくても良いと思った。



ほどほどに、“建物魔導具”に戻ったセリは朝食を食べキースとお茶をしていた。

キースの話に相槌を少し入れ、グスタフの持つ川辺の拠点にいたときの採取物を見せてもらう。


極北の城にいた時と変わらない気がすると近視感を覚えていた。

そこへ、


知らない兵士達が来た。


「お呼びにより、参上しました。」


獣人で、堅苦しい兵士達はこの拠点での部隊長だ。キースに挨拶に来たのだろうが。


その話題はセリに向く。


「人族という種族の弱さもだが、子どものお遊びでしょう?早々に返したほうが良いのではないでしょうか。」


『模擬戦で力を見せたつもりか?足手纏いなのは明白だ』と態度で示していた。


セリはそれを感じとる。威圧的態度に近寄ってはダメな人認定をした。

しかし、相手はもう子どもを意識する余裕がなくなった。


ヒュオっと冷たく。震えるほどの“強者の圧”

ぎゅうっとロードの服の裾を持ったセリの行動でおさまった。


せっかくの部屋が、寒くなるのは避けられたが。

色んな尻尾が震えるのは止められなかったのは、恐怖とは認められる物でもなかった。


そこは、騎士としての矜持をもって守られたものだった。

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