第三十七話 ひんやり


「やってくれたよね?」


キースがニッコリと言うには、突破してきた商人の事。


騎士を連れての事で、部屋への突撃を許してしまった。

それに関しては、お咎めない。


騎士を連れ

部屋に押し入る


看過はできない。


催事の熱ゆえか?

その商人の暴走だけではなさそうだ。



シュルトがいる、専属の商人さえ飛び越えてきた。ー

後ろ盾に自信があるのか。


「喧嘩売ってるワ。」


商人は物を売る仕事と思ったが、喧嘩も売っているらしい。


セリは頭がボーっとしてきた。

ポスっとロードの胸に、頭をもたれかかる。

ドクドクッと心音が聞こえる


風呂が上がりの熱も落ち着き、

冴えている目とは裏腹に、体は弛緩している。


ロードはセリの様子に

もう少ししたら寝かせつけることを決めた。


キースのこれからの行動も気になる。


カナンが進言した

「騎士を増やすか?」


「元凶までをどう、潰すか。」

さらっと怖い事を言っているが続ける


「まず、騎士は部屋の外に増やそうか。

中だと落ち着かないでしょ?」


それを肯定したのは、ロード。


「商人には注告を、本人には警告。

一緒に居た騎士にも話を聞こうか?」


カナンが了解と返事した。


「どんな話が聞けるかたのしみネ?」

シュルトの色々含んだ声


普段の温厚な顔だが、イラッとしているのかもしれない。


熱い紅茶

ケーキが出され


セリも頂いた。

ベリーが甘酸っぱい



「明日も来るね」と言ったキースだが

魚を食べに来るの意味な気がした。



ちょっと寒くなったので

紅茶をもう一杯。

今度はミルクが多く入っている。


温かい物を飲んで、寝に入る事にした。


寝るには普段より早いが

セリの体は睡眠を求めたようで、すんなり寝てしまった。


「オレの不足?」

ちょっとしょげた声のカナン

騎士の侵入を防ぐより、追い返したのだから仕事はしている。


「セリに危険もないから、あの対応でしょ」


シュルトが商人として、断ったが

騎士に強行されれば、抵抗するほうが悪手だ。


「部屋着の客人、その部屋へ許可なく

呼ばれてもいないのに狂って

ンンッ来るなんて、ナイ。」


商人としても、ここの住民でも

礼儀としてない。


訪問には手順、順序っていうものがある。


「議長の招いた客人よ?その部屋にアレはない。」


議長にも喧嘩売ってる。

ロードが帰ると言い出して、引き止めることもできないだろうし

その状況があってもおかしくはない。


「セリがいるから?くらいかしら。」


理由はだたそれ。

ほんと、今回って綱渡りなことばかり。


楽しかったのか、ぐっすり寝たセリに感謝するべきか。

起きた時につまめる物を用意して…


「今日は酒宴になるカシラ?」

「明日、酒宴に来るんじゃねーの?」


カナンの言いように納得する。


「そうね、たぶんグスタフとキースが揃って

魚が肴ってネ?」


料理に合う、あっさりしたお酒を用意しておこうと思うシュルトだった。








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