第21話 慣らし

「行こうっ!すぐ。」


『極北の城』の外は森だ。雪深く今日は吹雪くと思われる。

「外には無理かなあ。」

やんわりカナンの否定は正しい。

魔物もいるのでセリの装備では不安だ。攻撃力の面で。


「少し走り回れば気が済むだろう。」


流石に、門外に出たいとは言わないが、装備をつけ

走り回りたいという訴えだ。



セリの気持ちを汲んで、散歩に出かけた。


ロードと。カナンを引き連れ以前のように、病棟の近くまで。

また屋根を伝って移動する。


褒められたことではないが、

「バレなきゃオッケー!」

護衛が言う言葉ではない気がするが。

3人はこっそりと、素早く行動した。


(ホントよく動くなあ)

外でも木々を渡るのこともできそうだ。

獣人の子でも難しい環境の中、慣れを感じた。


それも当然、砦に居た頃、その前から

狩り、採取を1人でこなしていた。


肉が増え、ハーブが手に入るので、孤児院の助けになっていた。


心配され、無理をしないを心がけて

先達の話をきいて準備する。


魔物と対峙したこともあった。

それでも野外に出た。


孤児院にいるより、役立てると思ったから。


もっとあればと思うのは簡単で。

なんとかやろうで乗り切る日々だった。


便利さがある、感動だ。


ふわっとしていると温かい。

布団や毛布だってへたれていた。ないより良いのだ。

ひとつ決心をした。

「もふもふを触る」


こんなにもウキウキと楽しい。


足取り軽く、飛んだり跳ねたり。そうしながら魔法を試したりといそがしい。


「あんま遠く行くなよー」

カナンの声に手を振り、ロードに近寄っていく。


魔法を習おうと思って。

「広場に降りるぞ」ロードの指示に移動した。


ポコ、ポコッと水球を出す

「出しやすい。」

セリの装備は、魔法の発動の補助になる。いつもより、発動が早く違いに慣れる必要がある。


氷の魔法を見ながら、他の使い用がないか模索して水球を出す。


「熱心だねえ。」

少し遠くで、その様子を見ているカナンは、こちらの様子を伺う一団に警戒していた。


(あれは〜若い新人かな?」


訓練に来た兵だ。兵士としての訓練を少し受けたくらいの、生意気盛り。ロードが気になるんなら構わないが、セリちゃんがいる。


竜人ロードは目立つ。本人に自覚はないようだが、強者で

体格、魔力も高い。憧れと尊望に。


今はセリちゃんという人間を近くに置いている事で、

失望と、苛立ちを向けられている。


(勝手だろ?)

ロードはちらっとも気にしてないようだが。


動き出すようで、カナンは警戒を上げた。


兵の一団が通るようで、脇に寄ろうと思うセリを

後ろに庇う


「何の用だ?」少々の殺気。


「くらえ!人間っ」


雪玉、

ただの?割れて、じわっと青いインクが滲み出る。


「染め粉か?」服に付着すると取れないマーキング用


(洗濯しても落ちないやつじゃん)と理解したセリの気分が下がった。



「そいつが悪いんだ!」

「人間のくせに」


投げられる雪玉をロードが魔法で弾く。


上から


ドサっと落ちる雪の塊

集めた雪を使ったんだろう。


「早く居なくなれ!」集団も上に居た者達も遠くに走り去っていった。


「怪我はないな?」

セリの様子を確認しているロードは冷静のようだ。

驚いたようだが、セリは冷静に受け答えしている。


子供の幼稚な行為だが、仮でも市民扱いの子供に攻撃した。



(問題になるな。)ため息をついたカナンだった。


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