第20話 装備品

「毛皮に、装備品と。保存食はこれ。」

シュルトがかき集めたセリに使えそうな防具が勢揃いしていた。

「今回なら、こんなものカシラ?」


試食できるように、持ってきた瓶詰めの保存食

子供でも使えそうな小ぶりな魔道具に、思いついた細々としたもの。


セリの持ち物は、使えるものがない。

耐久性もイマイチで、たぶん濡れる。間に合わせだろうと思われていた。


あれが、支給された兵士用なんてつゆとも思わない。


セリは物珍し気にそれらを見ている。

お店はやって来たようで、そのまま外へ出かけられそうな一式だ。


「あ、オレも欲しい。」


カナンも参加するので買えば良いが

「割引してあげるワ」


商売人だ。お買い上げありがとうございます。


荷物が廊下いっぱいに…とならないのは、収納鞄のおかげだ。

名前の通り、魔法の鞄だ。


容量や重さの度外視した鞄。暴れる物以外は入ると聞くそれは

名の知れた人物の定番的な持ち物。


魔力の量に関わらず使えるが、その容量に比例して値段も法外だ。

入れられる量が大きくなるにつれ、数が少ない。持っているのもステータスだ。


「サイズは調整できるのか?」

「できるワ、自動調整のものもあるのヨ。」

部屋着などロードが買い求めた物は多いが、外に出るなら別だ。

外に出る服で、動きやすい物を求め、セリに着せる。


「ピッタリ!軽いっ。スゴイ。」


セリが今までになく感動して飛び跳ねていた。一番子供らしい姿だ。

初めての自分専用の物とは嬉しいものだ。今までの暮らしの中で新品をあつらえたものはない。


つぎはぎの服は日常で、お下がりばかり。サイズは大きいのを詰めたり、切ったり。それを不満に思った事はないがその機能性の違いに驚きを隠せない。


くるっと宙を回っても、どこも動きが阻害されない

「軽い、これで防寒が効くとか、濡れない?」


「エンチャント(付与)魔法で完全防水ヨ、帽子も被る?」


上着には魔物の毛皮で裏打ちされ、丈夫で、刃など通らない。

帽子には温かい火の魔石の付与


小さな収納鞄付きのポーチと騎士に支給される高級な装備を子供用のした。

出来栄えは、雪をかいくぐって行く冒険者だった。

手袋の指は余らず、足元に踏ん張りも聞く。快適さがグンと上がったが、元々があり合わせであったためだ。


「これで守備力もばっちりだ。可愛い。」


ロードは満足だった。

総額は屋敷、何個分?と聞かないとわからない桁でも関係ない。

(すっごく喜んでる!)


ウズウズど飛び出していきそうな勢いのセリに、動きやすさは一目瞭然で嬉々としている。


「ほらほら、物壊すぞ。」

カナンに宥められても、興奮冷めやらぬと言った感じだ。

もともとセリの身体能力に、装備が合っていない。


子供用の服など出回らない上に、

狩人とは違った動きをするセリには兵の装備が、

用意できなかった。物資不足、優先順位から


『子供なんだ。あれで十分だろ?』

サイズを合わせ、間に合わせなんとか魔法で凌ぐ。

身近な兵士達に協力してもらっていた


新品に喜ぶセリは、すでにロードが次のそれぞれ作らせている続々とあることを知らない


すぐに外で試したくなったはしゃぎように、子供らしさを思い出す。

警戒を忘れ、


外に出たいと思うまま、出かける日が楽しみになっていた。

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