第18話 強襲

「ハァーイ!」

部屋に来たのは商人のシュルトだった。


扉を開けたのは、カナン。護衛の役割だったのでまあ良い。

ひと通り王都行きの事を打診する話をして、今は

欲しいものがないかセリから聞き出しているところだった。


今のところ、読書をしていることしかわかっていない。

いや、紅茶は飲み方も混みで気に入ってくれたらしい。


陶器のボウルは手を温められるし、量も入る。

香辛料を入れて飲むのもうまい教えたら、喜ぶカシラ?

セリとお茶する時間が楽しみだ。


「こんにちは、セリ。おやつの時間だしケーキはいかが?」

生菓子は貴族向けの高級品だ。


セリは、作り方だけ聞いた事がある。

幻の品だった。


「食べいたい」


いつの間にか時間が経っていて、ほどほどにお腹が空いている。


4人でケーキを食べる。


四角の細長い形で、上にはナッツが飾られる。

パウンドケーキに近い。


シュルトの手作りだった。冬ごもりしている城でできるもので作った自慢のレシピだった。話題は王都の事に。


「王都?うちの本店が出ているわ。服飾がメインだけど、こことは薬草の販売で提携しているの。」

へえ変わった商業を掛け持ちしてるんだ。


「エルフが集まる土地だから、薬の新技術が発表されたり

薬膳っていう栄養満点なスープがたくさんあるわ。」


「草ばっかなやつ?」

「最近は、肉みたいなのを入れるのがブームらしいワ。」


観光案内というふうになってきた。一度は行きたい。


「学者が巣ごもりする土地だから、本も集まってるぞ?」

セリが強く反応した。


学校にもあるのだが、イメージが追いついていない。


「ケーキに種類もいっぱいネ」

魅力的な誘いも多かったが、セリは諾とは言えない。


お茶会はケーキを食べて解散になり、ロードが部屋まで連れてってくれる。本をロードの分まで借りて、マジックバッグと呼ばれる物に仕舞われた。


形はそのまま重さも感じないカバンを不思議に思い、触る。

そうしているうちに、部屋に戻っていた。

カナンは後ろにいる。今度はそれほど離れていなかったようだ。


「何もないな。」


机とベッド、温かな毛布があって、湯沸かしの魔導具。

他に何がいるんだろう?


「クッションだろ、スリッパにパジャマはもっと温かい物が良いか?

「飾り気ねーなあ。なんかタペストリーでも引っ掛けたら?」


こういう時仲良いよね。

この後、医師が訪れるまで、話し込んでいた。


その夜

部屋が壊された。


夕食後、借りた本を読んでいたセリは、窓の違和感に気づく。


ジッジっと振動しているような音に


咄嗟に、布団を被った。

バリン!!


破片が飛び散る。

侵入された音に、動かないという選択をした。


近づいてくる?狙いは私。

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