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ガチャリとリビングのドアが開く。

圭佑さんが帰ってきたのだ。


「おかえりなさい。」


「パパおかえりー。」


「ただいま。」


圭佑さんは私とすずを見て優しく笑いながらネクタイを緩めた。

すずはDVDを止めてから圭佑さんに駆け寄った。


「パパー、あのねー、ねえねがねー、すずのおかあさんになるってー。」


「えっ!ちょ、すずっ!」


突然のカミングアウトに私はガタッと立ち上がり、弾みでイスが勢いよく倒れた。と同時に、圭佑さんもカバンを落とす。


「おかあさんってママってことでしょー?すずしってるもーん。えらいよねー。すずえらいでしょー。」


な、な、な、なんてことをっ!


体温の上昇が止められず真っ赤な顔で圭佑さんを見やると、圭佑さんも真っ赤な顔をしてこちらを見ていた。

そんなことはお構いなしに、すずはピョンピョン跳ねながらいかに自分がすごいかをアピールしている。

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