デッドエンド & アルファ (※えっち注意)

春嵐

01

 彼が死んだ。

 ただ、それだけ。


 すげえ気軽に死んだなあと思う。なかなかできないよ、死ぬって。

 検死にも行った。というか、死体の立ち会い。そこそこ綺麗な寝顔だった。爆発物の暴発に巻き込まれたという話だったので、下のほうは丸ごとなくなっているのかもしれない。さすがに、まだ下半身ついてますかとは、訊けなかった。


 遺体安置室。


 すごい荘厳な雰囲気で、彼の寝顔を見ていたら、めちゃくちゃ笑いそうになったけど、耐えた。下半身も見たかったけど、付き添いの警官のかたがいらっしゃるので、できなかった。


 帰りにスーパーでお肉を買って、雑に焼いて食べた。これまで料理は彼の趣味だったので、それに頼りっきりだった。これからは、ひとりで作らないといけない。面倒だな。


 ひさしぶりにえっちなサイトにログインして、色々とあさった。懐かしいな。彼に出逢う前は、こうやって毎晩サイトを巡回して気になったもの買ったりして、ひとりでしてたっけか。


 とてもひさしぶりに、ひとりでした。


 やりかたをほとんど忘れてしまっていて、派手に液体を出して床とラップトップがびしょびしょになった。しまった。ひとりでするときはバスタオルとか必要だったっけ。


 自分が出した液体を、掃除しながら。


 ちょっとだけ、泣いた。彼がいないという事実が、重くのしかかってくる。これからずっと、ひとりでするんだ、わたし。


 彼を越える男性はいない。


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