第3話:私は何のために生きているの?
ある日、華菜子が自分の部屋である疑問について考えていた。それは、他の同級生のようになぜ出来ないのか?私は他の子達と違うのか?ということだ。実はこのことを彼女は小学校入学当初から悩んでいた。彼女は“勉強は出来るけど友達はいない”というイメージが浸透していて、同じクラスの子たちも叶那子に対して一定の距離を置いていた。しばらくすると、同じ幼稚園から一緒に入学した子たちが執拗にいたずらをしてくる事が増えた。相手からすると「遊んでいるだけ」という感覚なのかもしれないが、彼女からすると「自分に対する嫌がらせをしている」と感じる事が多かった。
当時小学生になったばかりの姉は物静かな感じのある女の子だが、当時2歳の妹はかなり好奇心旺盛な女の子で1つ興味のあるものを見つけるととことん見続けていた。そして、知らない人に対しても手を振ったり、笑っていたりと明るい性格で有名になっていた。なぜ、姉妹でここまで真逆な性格になっているのか、彼女からすると疑問だった。姉もそれなりに努力はしているが、妹のようにはなれないし、彼女のようなことも出来ない。
彼女にとってはなにより考えることが大好きだが、言葉がうまく話せないことが多いため、両親を含めてどのように伝えるか分からなくなってきた。パソコンが使えるようになると少しは意思疎通がうまくいく可能性はあるが、それが出来ない今は耐え忍ぶしかないのだろう。ただ、小学校1年生の頃から我慢させてしまうと本当に何が起きても我慢をするような子供になってしまわないだろうか?という不安は少なくとも母親の心の内には感じていた。ただ、体格も他の子達と比べると小柄なため、立ち向かうことだけは避けなくてはいけないし、感情をあまり表に出さない子だったこともあり、いじめられても我慢するようになっていたことからこれ以上エスカレートしてしまった場合に学校と家庭で協力して対処できるのか分からなかった。
ある日、叶那子が学校に行くと彼女の上履き(シューズ)が無くなっていて、近くを探していると昇降口の前に飾ってあるプランターの植え替え準備の状態になっていたプランターの中からかなり汚れた状態で見つかった。誰がやったかは想像が付かないし、ここまで手の込んだいじめをしていて、罪悪感がないというのにはいくら低学年の子供達に対する考え方でも驚いてしまった。
そして、これらのいじめが発覚して、彼女に対するいじめがこのことをきっかけに増えていき、だんだんと悪質な事が起きるようになってしまっていた。
ついに辛くなった叶那子は翌日学校を休んでしまった。両親も心配はしたが、いったい何が起きているかまでは把握していなかった。そして、その日の夕方担任の先生から連絡が入り、彼女のことで心当たりがないか聞いていた。しかし、両親には心当たりはなく、幼稚園の時からたまにお友達の間で小さいトラブルは何度か起きていたが、それで幼稚園に行かなかったことは1度しかなかった。
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