第59話

 ロスタイム4日目


 いやぁ、よかった。

 病院、Wifiありましたよ。

 さすが、最近の病院は違う。

 と言うことで、残念ながら、私、病院でお仕事することになりました。


 とは言っても、本日は、マジですることないんですけどね。

 手術が思ったより長丁場。

 でも、大丈夫でしょう。手術も、これが初めてと言う事ではないし。

 よほどのことが無ければ、命にかかわることもないはず。

 だけど、たまに、そのよほどのことが起こるから、ココにいる訳なんですけどね。


 その間、病室ですることないので、リモートでお仕事です。

 いやぁ、こういう場合、リモートっていいですね。

 働く場所を問わないというのは実にイイ!

 いっそこれからずーっとリモートだといいなぁ。

 なら、小説書き放題! 読み放題!

 背後の気配を気にする必要もありません。


 職場では、ヒットマンさながら、常に背後に気をくばり。

 気配を感じたら、ブラウザーを閉じる!

 俺の背後にたつんじゃねぇ!

 血走った目でにらみつけてます!

 いやぁ、ゴルゴ13の気持ちがよく分かる!

 なんか違うか。

 まぁ、いいや。


 ただ、実際には、外だとセキュリティの問題があるので、できる仕事とできない仕事があるんですよね。

 だから結局、お仕事場に行かねばならない。

 まぁここで、些末な仕事をこなしていれば、結構、この先の時間がうきそうな予感。

 コレで、職場に戻っても小説書けるぞ!


 でも、本当に……小児病棟は辛い。

 うちの子供なんて、病気でも何でもないじゃん! こんなので泣きごと言うなよ! ってな罪悪感と言うか、後ろめたさが、他の子の各病室の前を通るたびに襲ってくるんですよ。

 病室の入り口から、かすかに覗く部屋の中。

 管がつながれた子供が寝ていたり、うめき声をあげる男の子。一生けん目に我が子をあやすお母さん。

 懸命に病気と闘っている小さき体。

 年端もいかない小さな子供が、己のが病気など気にせずに、頭に包帯巻きながら健気に笑っていたりするんです。

 その笑顔に、どう答えれば、いいのか分からない……

 マジで、堪える……

 何回、来ても、慣れない……


 それでも、新生児集中治療室よりは、まだましですけどね……


 あぁ、早く帰りたい……




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