017
「――遅えぞ坊主、待ちくたびれたぜ」
待ち合わせ場所に行くと、いかつい顔の大男が白い歯を覗かせていた。
男の名前は……何だっけ……確かダグ、ダグニ……。
「ダグニール?」
「ダグニアさまだ、伝説の槍みたいな名前で呼ぶんじゃねえ!」
俺とコトハはLv1の冒険者だ何だと馬鹿にされて、一日でLvを追い越してやるんだと
ダグニアのLvは31。駆け出し冒険者の街にしてはかなりの高レベルだが、俺たちのレベルは圧巻の70。まさかたった一日で69Lvも上げてくるなんてと、こいつの泣きっ面が目に浮かぶ。
「それでよぉ坊主、早速お前たちのプロフを見せてもらおうじゃねえか。〝一日後の今日、よりレベルの高い方が勝者となり、敗者は勝者に武器を奢る〟この約束を忘れたとは言わせねえぞ」
ダグニアは気が早くもう勝ち誇ったような笑みで俺たちを見ている。そしてその周りでにやにやとこびへつらっている取り巻きども。
――いつまでも駆け出し冒険者の街に居着いて、成長を諦めた男についていくなんて見る目がない。
「これが俺たちのLvだ」
「ほほう、どれどれ。たった一日程度じゃ上がっても二、三が限界だろう。頑張りものなら五はあるかもしれねえな。だが
電子パネルに映し出された俺たちのプロフィール情報を見て、
Lv70と表示された数字がどうにも理解し難いらしく、その顔はどんどん青ざめていった。
「は、何だこれは、あ、ありえねえっ……たった一日で70Lvだと!? こ、こんなことは……はは、嘘だろおい、ありえん、こんなことは、断じてありえん!!」
そしてこれまでの偉そうな
「お前のLvは31に対して、俺たちは70。ダブルスコア以上の差だぜ、言い訳の余地も無くお前の負けだ。さあ大人しく敗北を認めろ」
「こ、このチート野郎、こんなの全部デタラメだろうが! いったいどんなインチキをしたっていうんだ、言ってみろ!」
「うるさい男だな。嘘だと思うなら
「こ、この〝業績〟は……まさか、そんな、馬鹿な!!」
プロフィール情報に映し出された業績、〝
そして業績にはログが残る。業績を獲得した時のパーティー編成、与えたダメージなどなど、それを見れば俺たちがインチキをしていないのが丸わかりだ。
「す、すげえなあいつら……」
「これはダグニアの完敗だな」
「正真正銘、努力の
確たる証拠を目にした周りの男たちは、流石に分が悪いと感じたのか、みな一斉に手のひらを返し始めた。もちろんダグニアの顔色はますます悪くなるばかり。いい気味だ。
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