♯13 村人Aの家で風呂に入る
サクラに浴場へ案内され使い方を説明される
湯の出し方、水の出し方
管から滝の様に出す出し方と上部から雨の様に出す出し方
顔を洗う時のスライム除去剤
体を洗う時のスライム除去剤
髪を洗う時のスライム除去剤
脱いだ衣服を入れる箱
身体を拭く為の布と新しい衣服の場所
身体を洗う部位でこうも異なるスライム除去剤を使用するとは・・・本当にこの世界の人間は綺麗好きな民だな
まぁ良い、風呂に入れるのはありがたい
風呂に湯が溜まる間、やはり少し料理を手伝おう
この野菜を洗えば良いのか?
まかせよ!
水の出し方は分かっておるぞ!
洗った後、銀色の大きな器へ野菜を入れる
む、洗うだけで良かったのか?
サクラが私にたぶれっとで映像を見せる
どうやら風呂の入り方の説明映像らしい
映像の風呂はかなり広い様だが・・・
●全裸で入浴、布で股間を隠す
股間を隠す必要があるのか?複数で入る場合だろうな
●湯船に入る前に、身体を洗う
顔→頭→身体の順で洗うらしい
綺麗好きの民だからな、風呂の湯が汚れるのを嫌がるのだろう
サクラは今回身体は手で洗えと言っていたな
●湯船に布は入れてはいけない、頭の上に載せるらしい
今回は布は使わぬから良いだろう、頭に乗せるとは?
体を洗った布を湯舟に付けない為か、さすが綺麗好きの民
●湯船で泳いではいけない
泳げる程の広さではないので問題ないな
●風呂場で走るな
走れる程広くないな
●湯船で排泄をするな
王族であるこの私がそんな獣の様な事をするはずもない・・・というよりこんな事をする奴がおるのか!?
●風呂からあがる際は身体をよく拭け
先程サクラが準備していた布を使えという事だろう
映像で実際に見せるというやり方は非常に分かりやすいな
口で説明するのと変わらぬが、記録映像であれば人件費が浮く訳だ
しかも記録映像であれば使い回しが可能
実に経済的だ
風呂の入り方の説明映像を見終わるとサクラが浴場を指差した
準備が出来たらしい
サクラも一緒に付いて来た
まさか一緒に入る訳ではあるまいな?
浴場を確認すると湯舟が溜まっていた
サクラが脱衣所の棚から小袋を取り、小袋を破り中の粉末を浴槽へ入れた
サクラが湯舟に手を入れ湯をかき混ぜると湯の色が緑色へと変化した
心なしか森の様な香りが立ち込めるて来た
湯に香りと色を付ける物なのか・・・なんの為に?
これで準備は完了らしい
サクラはそのまま出て行った
さすがに一緒に入ったりはせぬか
ほっとした・・・
もしもの時は叩き出すつもりであったが・・・
風呂に入る前に、といれへ行きたい
使い方はもう分かっておるから「だいじょうぶ」だ!
といれから脱衣所へ戻り服を脱ぐ
この脱衣所には水場と、その正面には上半身が映る程の大きさの鏡が設置してある
こちらの鏡は映る像がとても鮮明だ
サクラの家に設置してあるという事は、こちらの世界では普通の事なのだろうな
この衣服は紐で止めてあるのであった
便利結びのおかげで脱ぐもの簡単だ
肌着は脱ぎ辛い
首が引っかかるが強引に体から引き抜いた
紐付きの方はこの後も着るのだったな
汚れていないし、今日朝から少しの半日程しか着ていないしな
特に気にはならない
こちらは着替えが置いてある方へ置く
この箱の蓋を開けて・・・この中に脱いだ肌着を入れておくのだったな
後でまとめて洗うのだろう
わざわざこんな箱に入れるという事はおそらくこの箱は洗濯をする魔道具ではないだろうか
この世界は大部分を魔道具で補助しているのだろう
メイド長が喜びそうな魔道具だな
脱衣所から浴場へと入り、扉を閉める
湯舟は緑に染まり、森の様な香りがする
身体を洗うのが先だったな
中央の棒を右に傾けると雨が降って来て、左の突起物を回すと水、右を回すと湯が出てくるのだったな
まずは水から・・・左の突起物を捻る
!!
ちべたっ!
勢いよく雨が降って来て頭から水を被る
くぅぅぅぅ
冷た過ぎる!
お湯を一緒に出すことも出来るのだったな
雨を躱しながら、右の突起物に手を伸ばしを捻る
なんとも間抜けが姿だ、人には見せられぬな
水が少し暖かくなる
なるほど、これは気持ちが良いな
もう少し熱くても良い
湯の温度を調整し頭から浴びながら、髪に手櫛を通す
これはまたなんとも気持ちの良い物だ
一定の水量で湯を浴びる(例えるなら湯の雨か)など元いた世界では体験した事がなかった
さて、まずは顔からだったか
このスライム除去剤だったな
これは蓋があるタイプの物だ
手に少量取り出し、手を洗う時と同様に泡立ててから顔を洗うという事だったな
???
灰色のスライム除去剤だ・・・
逆に汚れるのでは?毒を持って毒を制すといった所だろうか
手に取り泡立ててみると、泡は白かった
なぜだ・・・分からぬ
泡を顔に塗りたくり、汚れを落とすように顔を洗う
『ぐあああああああああああああああああっ!』
泡が左目に入ると激痛が走る
ダメだ!この泡は目に入ってはまずい!
湯の雨で顔についた泡と目に入った泡を洗い流す
スライム除去剤・・・目は洗えぬらしい
気を付けねば
顔に付いていたスライム除去剤を洗い流した後、肌に触れるとキュキュっとする
手を洗った時と同様だ
汚れが落ちているのだろう
実に清々しい
綺麗好きの民の文化・・・素晴らしいな
次は頭だ
これは手を洗う時と同様、上部を押し込むとスライム除去剤が飛び出してくるタイプの物だ
2度同じ失敗はせぬ!
しっかりと左で受け取る準備をし、右手で上から容器を押し込む
ふふッ!
しっかりと左手で受け取ったぞ!・・・と思ったら湯の雨のせいで左手からスライム除去剤は流れ落ちてしまった
なん・・・だと!?
また無駄にしてしまった・・・サクラには黙っておこう
湯の雨の当たらない場所へ容器を移動させてから、左手で洗髪用のスライム除去剤を受け取る
成功だ
手でこすり合わせてみるが、あまり泡立たない様だ
しかし髪に付けて擦ると泡立ちだした
しかも花の様な良い香りがする
洗髪用のスライム除去剤
伊達に使い分けていないという訳か
私の髪は腰の上程まであるので洗うのは大変だ
自分で洗うという事も久方ぶりの事である
スライム除去液、ちと足りぬか
追加して洗髪をし、髪全体に行き渡った所で湯の雨で洗い流す
髪もキュキュっとして気持ちが良い
次は身体だ
さっきの様なミスはせぬぞ
湯の雨の届かない所まで容器を移動し、身体用のスライム除去液を手にとる
!!??
なんと!?
泡立てる前から泡である
なんとも不思議な・・・ふわっふわである
これで・・・身体を洗えと?
満遍なく体に塗りたくる
汚れが溜まる部分は念入りに・・・くぅ背中は届かぬか
今日は届く所までで良いだろう
湯の雨で洗い流すと肌もツルツルだ
なかなかこうはならぬぞ!
なんという爽快感か
身体の隅々まで綺麗になったのを感じるぞ!素晴らしい!
それでは湯舟に浸かるとしよう
待てよ・・・髪が湯舟に浮かぶのは好きではない・・・
先程の伸縮する髪留めは・・・サクラに聞いてみるか
「サクラ!」
足のみ浴槽に浸かり、身体がサクラ側から見えない様に死角へ入り、顔だけ脱衣所へ出す
[×××××××]
サクラが扉の向こうで何かを言っている
私に気を使っているのだろう、こういう時は・・・
「だいじょうぶ!」
サクラに聞こえる様に伝える
サクラはゆっくりと扉を開け脱衣所をそっと覗き込んだ
お互い顔だけを扉から脱衣所へ向けて覗かせていた
サクラは身体が見えない事を確認すると扉を開け遠くから声をかけて来た
「×××××?」
サクラへ向けて髪を結う仕草をしてみせる
『髪留めを貸してもらえないだろうか?』
サクラは仕草で察してくれたらしく、脱衣所の棚から取ってくれた
伸縮するタイプの物ではなく、挟み込むタイプの物だ
これであれば髪を留めるのも簡単か
サクラから神留めを受け取り
「ありがとう」と伝える
サクラは髪留めを渡すとそそくさと出て行った
ふむ、良い男ではないか
何かしよう物なら命はないがな!
脱衣所の扉が閉まったのを確認し、浴場の扉も閉める
髪をまとめ上げ、髪留めではさみ込む
湯舟に髪が入らなければ良いだけなので、雑にまとめて湯舟に肩まで浸かる
!!
くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
少し熱いくらいだが、なんという心地よさか
この森の香りがなんとも安らぐ
これは良い
あの粉末、森の香りを封じ込めた物だろう
浴槽は腰掛けると足は延ばせる程度の広さだ
一人で入る分には、なんと快適な空間か
逆にこの閉鎖感が良い
天国か・・・ここは?
どうだろう、この世界に天国は存在するのだろうか
天国と言えば、今は天使共がのさばる敵の領地な訳だが
いずれは天国も我が国の物としなければならん
今は良い、この快適な空間を堪能しなければ
今日一日をひとまず振り返ってみよう
この世界に来た前後があまり思い出せぬ
なぜこの世界へ来たのか・・・
先日は夕食の後、今日と同じように風呂に入ってそのまま寝たと思うが・・・
その後、サクラの部屋で目覚め、起きると衣服と朝食の提供、たぶれっとによる情報収集、この世界での外食と買い物
そして風呂・・・か
サクラには世話になり通しだな
礼はせねばなるまい
帰還方法も探さねばな・・・それまでサクラの世話になるしかないか
サクラと上手く交渉出来れば良いが
長風呂をしてしまったな、のぼせる前に出よう
しかしこの世界の風呂は気持ちが良い
風呂に入る頻度はどれくらいなのだろうか・・・出来れば毎日入りたいが
準備してあった布を手に取ると、今朝使った袋とは異なり厚手で大きな物だった
これは身体を拭く専用の物なのだろうか
用途に応じて使い分けるのだな
髪、身体の順で拭く
先程こんびにで購入した肌着を着用する
これはズボンと同じように足を上から通すのだな
両足を通し、腰まで引き上げる
伸縮性があり、着用後に体にフィットする
ふむ・・・履き心地は悪くないな
あとは今朝と同様上の肌着と紐付きの上下を着る
結び方は覚えておるぞ
着衣も問題なく完了した
使用後の布はどうしたら良いのだろうか
ひとまず手に持ったまま脱衣所を出る
サクラに「ありがとう」と伝える
私の様子を見たサクラが布を受け取り私の髪を拭いてくれた
ぐぬっ・・・気持ちが良い
許す
拭くが良い
髪を拭き終わった後、布を肩にかけて私を床に座らせる・・・のかと思えば、背もたれのある脚のない椅子に座らせた
サクラが私の後ろの椅子に座る
サクラの両膝は私の頭の両端に来る形だ
な、何をする気だ?
手には何からしら魔道具を持っている
サクラは私にたぶれっとを渡す
どうしろと言うのだ!?
ブオオオオオオオオオオオオオオ!!
爆音と共に風が吹く
サクラがその風を髪に当てる
熱風で髪を乾かす魔道具だろうか
魔法を使えばすぐだが・・・魔力の無駄使いは出来ぬな
まかせるとしよう
なかなか気持ちが良い
!!
なるほどこの手持無沙汰な時にたぶれっとを見れる様に私に渡した訳か
気が利くではないか
爆音で音は聞こえぬので映像だけ楽しんだ
人に髪を乾かして貰うのが気持ちの良い物だとは知らなかったな
サクラよ、お主は私の使用人にしてやろう
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