♯7.5 村人Aにあにめを奨められる
サクラから受け取ったたぶれっとには絵が描かれていた
サクラがこれを観せたいという事であれば意味があるのだろう
たぶれっとに触れると絵が動き出した
絵が動くとは・・・どういった仕組みだろうか
人の様な形をした絵、おそらく人を模しているのだろう絵が動いている
それに合わせてこれは話をしている・・・のではなく歌だろう
言葉は分からないがこの旋律は良いな
先ほど観ていたたぶれっとの映像も音楽が流れていたな
こちら世界の旋律はとても複雑で初めて聞く音が多かったな
最初は雑音にも聞こえたが今は音楽だと認識出来る
こちらの楽器はどういったものがあるのだろうか
いずれ調べてみよう
しばらくすると歌が止んだ
すると絵の人物が話を始めた
これは書物を音読、読み聞かせする魔道具なのだろうか?
それともこちらの世界では書物とはこういった物なのどろうか
言葉は分からないが
絵が動くというのは新鮮で面白い
何より状況で何を話しているのかも分かるし
同じ様な状況でその言葉を使えばサクラに言葉が通じるやもしれぬ
サクラめ
それが狙いか
良かろう
乗ってやるぞ
真っ黒な絵から光が丸い青い玉へ向かって行く
場面は変わり、少女の持っている人形?
だろうか
頭はない様だが・・・
その人形に先ほどの光が吸い込まれると
頭のもげた人形は動きだした
光が宿り、人形が動くとなるとゴーレムの生成、操作の術式に酷似しているな
この書物は魔法の仕様書なのかもれぬな
ゴーレムは歩きだし何かを探している様だ
!!
このゴーレム自立して動くのか
自分で透明な物に包まれた物を頭に装着した
魂があるのか?
自立型のゴーレムなど生成可能なのだろうか
宮廷魔導士にも自立型ゴーレムの生成に成功した者などいなかったと思うが・・・
少女も驚いている
どうやら自立型ゴーレムはこちらの世界でも稀有な存在らしいな
!!??
ゴーレムが会話をする・・・だと!?
なんという事だ、やはり魂の生成に成功したという事か
異世界おそるべし!
少女の手に何やらスライムの様な物が付着している
どうやら極小サイズの様だ
スライムの付着した手で食べ物を食べると
スライムが食べ物と一緒に取り込まれ体内に入っていった
しばらくすると少女が苦しみだす
先ほど体内に入ったスライムのせいだろう
あの様な極小スライムがいたら気付かないのも無理はない
私のいた世界ではスライムにはコアがあり、コアを中心に粘液を纏っている
描かれているスライムにはコアの様な物は確認できない
書物だから正確に描かれていない可能性もあるか・・・
こちらの世界のスライムはコアがないのかもしれない
ゴーレムが少女に飲み物を渡す
解毒薬かポーションの類だろう
会話から察するに「にゅうさんきん」という飲み物の様だ
確かにこの書物を読み進めて
いや、観ることにより物の名称も覚えて行けそうだ
にゅうさんきんなる飲み物を飲み終えると少女の体からスライムが出て来た
極小だったスライムだったが、出て来た時にはゴーレムと同程度の大きさになっていた
なぜだ!
この短時間で増殖したというのか!?
分からぬがここは異世界
考えるのは一旦保留としよう
スライムと対峙するゴーレム
ゴーレムの物理攻撃ではスライムにダメージを与えられない様だ
スライムによりゴーレムの頭の部分のパーツが削られる
ゴーレムを消化しているのだろうか
このスライム悪食過ぎる
その時少女が机の上にあった何かを投げてゴーレムがそれを受け取る
どうやら新しい頭のパーツの様だ
何やら少女が急に話を始めたが何を言っているのかは理解出来ない
ゴーレムは受け取ったパーツを自身の損傷した頭と交換する
頭の換装により魔力が高まったらしい
絵からその事が伝わる
強大な魔力がゴーレムの両手に集まる
スライムは驚き硬直している
バカめ!
詠唱中は絶好の攻撃のチャンスではないか
ここを見逃すなど
所詮はスライムか
大出力の魔法が放出されスライムは消滅した
自立し、意思を持ったゴーレムがこの様な大出力の魔法を放つとは
魔力の供給源は何なのだろうか
いずれ突き止めなければならないな
言葉を理解出来る様になればその辺りの知識も得られるだろう
最後に少女が再び食べ物を食べようとした時ゴーレムが制止し
手を洗う様に促した
白い白濁色の粘液を手に付けこすり合わせると泡が生まれた
その泡により手に付着していたスライムが消滅する
スライム除去剤といった所だろうか
そうする事により今度は食べ物を安全に食べる事が出来るという形で物語は終了した
つまりこれは食べ物を食べる前にはこのスライム除去液を使用し
手についたスライムを除去せよという教訓を含んだ物語
またはこのスライム除去液の仕様書という所だろうか
この世界では食事の前にスライム除去液で手を洗うのが通例らしい
この書物でこの世界の理を学べという事だなサクラよ
良かろう
この書物にて
この世界の言葉と理を学んでやろうではないか
続いての話はこの世界の硬貨を使って
商人から物を購入する話であった
そしてまた歌が始まった
歌はこの世界では特別な意味を持つのだろうか
どうやらこの書物は初めと終わりに歌が流れるらしい
それがこの書物の作りという訳か
理由は追々分かるだろう
サクラはこの書物(物語?どちらだろうか?)が
「あにめ」という名前だと教えてくれた
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