♯6.5 村人Aとしてトイレの使用法を教える

女性のトイレの音を盗み聞く様な特殊な性癖は持ち合わせていないので


離れて待つ事にする


分からない事があれば呼ぶだろう



テーブルに置いたスマホとコーヒーを手に取る


ニュースサイトを開きながらコーヒーを口に含む


朝は3つ程ニュースサイトを徘徊しながら情報収集する


政治、世界情勢、エンタメといった感じだ


しばらくすると


『はぅあっ!!』



ソフィアの叫び声が聞こえた


・・・これはあれですね


ウォシュレットイベント発生させましたね?



電源切っておいてあげるべきだったのだろうけども


そんな時間はなかったからな



仕方ない



このまま水圧アップボタンでも押されて色々な物に目覚めてもらっても困る


女性なので扉を空けて説明する訳にもいかないな




まずは水の止め方からか


机の上の棚にあるコピー用紙とマジックを手にして


トイレの使用説明書を殴り描く



幸いフリーのデザイナーとして商品の説明書を作成したり


アニメーターとして働いていた経験もあり


そこそこの作成スキルは持ち合わせている



分かりやすくしたつもりだが伝わるだろうか


数字もわからないだろうから紙一枚につき伝える動作はひとつとする


水の止め方


指で便座の右側にあるユニットの■ボタンを押す様に指示してある


どうやってこれをソフィアに見せるかだが・・・


ドアの下の方って隙間空いてたっけか



確かめてみると紙1枚は通りそうな隙間があった


その時



「サクラ!」


ソフィアが俺を呼ぶ



大丈夫、おっさんは察してマニュアルを作りましたよ



ドアの隙間から紙を差し込むと


半分くらい差し込んだ所で


扉の向こう側へ引き込まれて行った


ソフィアが気付いて引き抜いてくれた様だ


うまく伝わると良いが・・・




続いて秘部を拭く旨を伝える絵を差し入れる


前からでも後ろからでもOKという親切図解だ


好きに拭いてくれ


おっさんは男だから分からん




続いてトイレットペーパーの処理と水の流し方の図解だ


扉に差しれた後しばらくするとトイレを流す音が聞こえた


無事完了したらしい




良かった



出てきて顔を合わすのも気まずいだろうと


トイレから離れ残りのコーヒーを飲み切る



トイレの扉が開き晴れ晴れとした顔でソフィアが出て来た


無事完了した様で何より


言葉、ルール、常識が異なる世界での排泄って大変だな


文明レベルによってはその辺りでしても問題なかったりするのだろうけど



ソフィアがトイレを指さす


トイレの名前が知りたいんだな?



そうだな


いざという時は割とプライオリティの高い言葉だろう



ソフィアと同じようにトイレを指さし


「トイレ」と告げた


「といれ」


ソフィアは復唱する


覚えてくれた様だ


どうやら知能は高いらしい


良かった




そうだ手を洗って貰わねば


トイレのタンク上部の水は・・・まだ流れてるな


ここで手を洗う事を再度ジェスチャーで伝える


洗って貰ったあとトイレの壁に掛けてあるタオルで手も拭いてもらう





リビングへ戻ると


「サクラ」「たぶれっと」


ソフィアがタブレットをご所望の様だ


気に入ってくれた様で何よりだ




そうだ


子供向けアニメーションで簡単な倫理観と


日本語を学んでもらう事を試してみよう




配信にあったかな


現在サブスプリクション形式の動画サイトを4つ程登録して利用している


いずれかにはあるだろう




・・・ない


まじか


よりによって登録している配信サイトにない




仕方ない登録するか


新たな動画配信サイトを登録する


500円程度だし問題ない




ひと月で解約する事になるだろうし


異世界イベント発生まで快適に過ごしてもらえば良い




登録を終え


菓子パンモチーフアニメを再生出来る様にして


ソフィアへ渡す


どんな反応をしてくれるのだろうか



楽しみだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る