第3話 真実
それから数日がたち精密検査をうけて退院の許可が下りた。けれど私のもとに翔が起きたという報告はなかった。
今日は六花が退院準備の手伝いに来てくれている。
「ねぇ六花は翔のこと何も聞いてないの?」
「わからないよ」
「嘘ついてないよね」
「嘘つくわけないじゃん」
なんで教えてくれないんだろう。やっぱりもう生きてないのか。それとも本当に起きてないだけなのかな。
「愛しき娘明日の準備進んでるか?」
いつもお父さんは陽気だから暗くても元気になる。
「お父さん。お母さんにあいたい」
退院する前の準備それこそお母さんにあうことが一番大事だと思った。だって私が起きてから一回もお母さんにあっていなかった。
「わかった。何とか来るように言うよ」
「お願い」
お母さんはきっとお兄ちゃんの心配なんだろうな。それをお父さんが支えている。お父さんは強い。私ももっと強くならないと
「そろそろ退院するし。話したほうがいいな。六花ちゃんも知っておいたほうがいい」
陽気だったお父さんが急に真剣な顔になった。
「翔な。もう帰ってこねーんだわ」
やっぱりそうだった。六花が知らないように言ってはいるが六花も知っていると思う。私は六花が誰にも話していない秘密があるのも知っている。それを知ってるからこそ、この反応は薄すぎる。これでお母さんが来ない理由もわかった。
「いつから?」
「お前が起きた時点でだ」
「おかしいって思った。みんななんか避けてたし」
でもあの時この言葉聞いていたら正気ではいれなかった。ある程度回復したおかげで今はまだ理解できる。たしかに受け入れなれないし、今でも私のせいだと思っている。だけど、私を生かしてくれたんだから頑張らないと。
「翔が死んだ分私は生きないとだね」
「やっぱりこのタイミング正解だったか。よし。母さんを連れてくるよ。俺がいるとあれだろうしな」
気の使い方も上手だ。このままいれば六花が何も動けない。
「かくしててごめん」
自分から隠していたことを話してくれた。
「ありがとう。六花もつらかったよね」
少し隠してたことにはむかついた。けど自分から言ってくれたのはうれしかった。それに辛いのは私だけじゃないんだから。
「いつから気付いてたの?」
六花の問いかけはいつから隠してるのに気づいていたの?なのかいつから亡くなったと気づいたの?なのか正直わからない。
「予想はできてた。だって六花起きてすぐに眠っているとかいうし、あの時すごく悲しそうだった。あの時にはもしかしたらって思って、ここ数日で生きてないの知っても落ち着ける心身にもなった。けどねやっぱり嘘だと信じたい」
どちらの答えにせよ泣かないと思っていたのに、なんでだろう。涙が止まらない。私やっぱり悲しい。
「例え翔がいなくても、私たちはずっと友達だから」
涙を流してる私に抱き着いてきた。六花の胸は大きくて暖かい。なぜか落ち着く。
「うん。そうだね」
「じゃー明日の退院の時は大翔も呼んでくるね。あいつ自分で絶対バラスから行くのは控えるって言ってたからさ」
そういえば大翔くんとも全然あってないのか。完全に忘れてた。影が薄いわけじゃないのに。
「奈々。入っていい?」
お母さんの声だ。
「いいよ」
「久しぶり。六花ちゃん手伝いありがとう。後ずっと来れなくてごめん」
「気にしてないよ」
お母さんも思ったよりずっと元気でよかった。
「二人で話したいだろうし。私ちょっと出るね。適当に戻ってくる」
六花は部屋を出た。
「翔のこと聞いた?」
「うんお父さんから」
「そっかあの人今どこに?」
「何言ってるの私が会いたいから、呼んでもらったんでしょ?」
六花がいなくなってからのお母さんの雰囲気が少し変だ。
「そうなんだ。なら今は家に戻ってるのね。ちょうどいい」
「おかあさん?どうしたの」
なんか怖い。
「あなたは何人の人を殺したら気が済むの?だから養子にするのはやだっていったのに」
さっきの元気な雰囲気はまったくなくなっていた。悲しくて流した涙がひくくらいに殺気をかじる。
「どういうこと?」
「あんたはね」
「やめろ」
扉を勢い良く開けるのと同時にお父さんの姿があった。
「何で来たの?」
お母さんの殺気はお父さんにも向いていると感じられた。そしてポケットからナイフが見える。もしかして翔が死んだ原因が私だから殺しに来たっていうの?
「六花ちゃんがもう来てるって電話くれてな」
「っちあのくそ女が」
「喧嘩はやめて」
全部私が悪いんだ。私が養子で来てなければ翔は死ぬことはなかった。
「人殺しは黙ってろ。あんたが翔もあんたの親も殺したのよ」
親も殺したと聞いて私は頭の中が真っ白になった。そして運転手の人の言葉を思い出した。「僕の意見を君に伝える」「小さい子供が同じ場所で事故にあったときちゃんと話す」 じゃー腕の傷って。
「奈々悪いな」
お父さんが思いっきりお母さんを殴った。
「病院でやることでないのはわかるが、さすがにな。悪いな。この人と合わせるとこうなるのがわかっていた。翔が死んでから人が変わっていったんだ。だけど俺ありならって思っていたが、タイミングうまかったな。とりえず連れて帰る。こいつの言っていたことは気にするな」
そう言い連れて帰った。けどそんなのはどうでもよかった。神の定めなんかじゃない。私は死神なんだ。私とかかわった大切な人は死ぬ。だったら六花たちだっていずれ。それに人が変わったようにって、翔の存在はやはり大きかったんだな。
「これが神の定めだ」
いつのまにか部屋に和服の人がいた。
「あなたはいったい何なの?」
「この町に住む神だ」
「神なんて存在しない」
多分本物だ。だけどこの人がいるってことを否定しないと事故でなく運命になってしまうそれだけ嫌だった。
「どちらにせよ。お前が存在する限り不幸な人が増える。それが神の定めたお前のステータスだ」
「それって」
「察しがいいな。我がお前にとりついたんだ」
「ふざけないでよ!!なんでそんなこと」
「面白いからだ。人間はおろかだ。大事な人が死んだときの光景を見るのは実にいい」
神ってみんなこんななの。ひどすぎる。でも、この町に住む神の言い伝えってこんなだったけ。
「だったら私が死ねば」
この呪いを打つためには自殺するしかない。
「安心しろお前の呪いは病死または老死するまでは適用される。いくら自殺しようと他のものによって助かる。お前は犠牲者を出すだけだ。」
「だったら」
どうやって生きていけばいいの?誰か教えて。
「それはお前が考えろ。楽しかったぞ。不具合が起きたせいで正気に戻ったが」
心をよまれている。それに不具合何を言ってるの。
「まさか」
「あのタイミングでお前の母親が来たのも、母親をあの考えに行きつくようにに仕向けたのは我だ。それに事故あった場所は人間には感知できない磁場を飛ばしいる。たまーに不具合が重なると事故にあう仕組みになっている。つまりだ、貴様の不幸と事故合わされば誰かが死ぬんだよ。お前の親もな!!これからも我を楽しませろよ」
いいたいことだけ言われ、神と名乗るものはいなくなった。
「うわー!!」
頭なのかがごちゃごちゃして何も考えられない。ただ叫ぶことしかできない。
「落ち着いて」
声が聞こえるだけどそれが誰なのかわからない。またあいつが来たのか。あいつがまた何かを吹きかけているんの?
「どうしたんですか?」
「なんか急に暴れだして」
「とりあえず安定剤を」
翔を殺したのも本当のお母さんとお父さんを殺したのも私。つまり私は神によって作られた、自分の意志で死ねない、死神なんだ。
死神がみんなを殺さない方法はただ一つ。誰にも会わずただ家にいること。
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