目が覚めた。


 身体中が重くて、ふくらはぎは痙攣している。


「おはよう。起きたかな?」


 起き上がろうとして。だめだった。

 腕が、ちょっと動いただけ。そのまま倒れる。


「そのままでいて。昨日あんなにがんばったのだから。少しでも寝ていてね」


 彼女の声。


 彼女。


 彼女って。


 誰。


 誰だっけ。


 わたし。ひとりで走って。


 そう。


 彼女に逢いたかった。


 彼女の笑う顔を。彼女のいる幻想に。


 そう思っても、また、彼女のことは。


 忘れてしまった。

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