同じアパートの住人

ハル

第1話 引っ越し

「あら?こんにちは!」



アパートの住人の女性のが引っ越しして荷物おろししている私達に声をかけてきた。



「こんにちは!朝からすみません騒々しくて」

「いいえ。こちらへお住まいですか?」

「はい。主人の仕事の都合で、藤原(ふじわら)と言います」

「まあ、そうなんですね?大変ですね」

「はい。今日から親子共々お願いします」


「こちらこそ。うちは駿河(するが)と言います。ところで娘さん、おいくつ?」

「あ、16です」

「16?じゃあ、うちの息子と同級生なのね」

「息子さんですか?そうなんですね」


「ええ。●●高校に通っている高校2年生の息子がいるのよ」


「まあ。じゃあ梨生が通う所と一緒じゃない?」


と、母親。


「そうなのね?仲良くしてやってね。息子には伝えておくわね」

「あ、はい」




同じアパートの住人は去って行く。


申し遅れました。


私の名前は、藤原 梨生(ふじわら りお)。16歳の女の子。


明るさをモットーにしている。


そして、誰にも弱い所を見せたくない。



付き合っている恋人とか友達とか見せて良い人はいるかもしれない。


だけど、正直容易く見せたくないのが本音だ。


本音に信頼出来る人以外は例え親でも嫌なんだから――――




「梨生ーーーっ!起きなさーーいっ!」



「………………」



「梨ーー生ーー」



ガチャ

目を覚まし部屋から出て来る私。



「早く寝ないからでしょう?」

「……仕方ないじゃん……」



私はぼんやりしながら朝食を済まさ新しい制服に着替える。


そして、エレベーターに乗るため待っていた。


エレベーターが到着し私は余りの眠さにボーッとしていた。




「おいっ!」



ビクッ



「乗るのか乗らねーのか、さっさとしろよ!」

「あっ!すみませんっ!の、乗ります!」



私は慌てて乗り込んだ。




≪同じ制服?……彼女が例の?≫



私の存在に気付くエレベーターに乗っている男の子。


私は全く気付いていない状態で乗っていた。



学校に着き、H.R. で、私を紹介される。




≪同じクラスって……マジかよ……!≫




私は気付く事なく、男の子は同じアパートの住人である彼だけは私に気付く。



「なあなあ、結構可愛くね?」



俺の友達が言った。



「そうか?」




そして、私・藤原 梨生の新しい生活が始まるのだった。




ある日の事。



「梨生、どう?高校生活の方は」と、母親。


「えっ?あー、うん大丈夫だよ。みんな良くしてくれてるし」

「そう?」

「うん、だから心配しないで」




ある日の学校帰り、アパートのエレベーターに一階から乗り込んだ時だった。


ドアが閉まりかけたその時だった。


ガンッとエレベーターのドアが閉まり掛かっている所に手で止める人影。




ビクッ

驚く私。



「うわっ!ビックリした!」

「あー、悪いな」



ドキッ

胸が大きく跳ねる。



「い、いいえ」




≪あれ?同じ制服……こんなカッコイイ人…同じ学校にいたんだ≫



私は男の子を見つめる私。




≪同じ学校?ん?そう言えば最初ここに来た時言ってたっけ?≫




「何だよ!」

「いや…」

「お前、最近、引っ越して来た奴だろう?同級なんだって?」

「あっ!やっぱりそうか!そう!私、藤原 梨生 宜しく!」

「今更…?つーか知ってるし!」


「えっ?あれ?私、紹介した?初めてだよね?」

「紹介されたし!つーか確かに初対面だけど同じクラスだから!」

「えっ?嘘だ!」

「本当だ!ほら、降りろよ!2階!」



顔で降りるように促す仕草をした。



「あっ!」



私は降りた。




「…変な奴…つーか…アイツのあの様子じゃ学校の俺とプライベートの俺を知らない感じか?」




その後、彼の名前


駿河 雄平(するが ゆうへい)君と判明した。


同じクラスでエレベーターの時とは別人でクラスの人達と仲が良い。


話しによれば実はモテモテ君だったりするらしいけど――――

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