エピローグ
ざざぁ……ん、と、穏やかな波の音。天気は快晴、……海鳥が遠くを飛んでいる日は天気が崩れないのだったか、だとすれば今日はまさしく航海日和だ。
「…………そんなに楽しみ?」
「む、顔に出ていたか?」
「だいぶハッキリとね。」
あの日から一週間ほど経ったある日、私達は港へとやってきていた。
新たに始めた研究は行き詰まっていた。……当たり前といえば当たり前だ、彼女の飢えを満たす方法と、寿命の壁を超える方法、前例など無いし、そもそも目で見て原理が分かるようなものでも無い。
そこで彼女に提案されたのだ、「海の向こうへ行ってみないか」と。
……まあ、正確には大陸に沿って東へと向かうらしいが。
驚くことに、そこには神が大勢いるらしい。それも役割を分担するように。
まるでこちらの精霊のようだ。
確かに、そこなら何かヒントを得られるかもしれない。そう思って二つ返事で了解した。
それから様々な準備をして今に至る、という訳だ。
「まあ、楽しみな事は否定できないな、これほどの未知、一研究者として心躍らないわけがない。」
「………………ふーん。」
「何より、君との船旅は楽しいからな。」
「…………むぅ……。」
「…………なんか機嫌悪くないか?」
「なんでもないですー。向こうに行って君みたいな悪い男に騙される子がいないか心配になっただけですー。」
彼女はそう言って先に歩いていってしまう。
「……だ、騙す?」
何の事やらさっぱり分からない。
一人首を傾げていると、「はやく行こー!」と呼ばれる。……どうやら怒ってはいないらしい。
「……ああ、今行く!」
そう答えて歩き出す。
吹き抜ける風が頬を撫でる、今日は本当に良い日和だ。
終わり
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