第14話 炎竜ゼオルゲル戦 その3 幽体での偵察
さて、時間が惜しいし、ちゃっちゃっと偵察してきますかね。あ、ヘルプ機能さん。効果切れるまでのタイマーセットお願いしまー。
画面左端に、9:50と出て、表示は一秒ずつ減っていった。
地面というか壁面をそのまま突っ切るのも考えたけど、迷ったり不用意に正面に出ちゃったりするのも嫌だったので、火口内斜面の大穴まで行って、そこからゆったりと降下。
発着場に降り立つまでに空洞内部の様子が明らかになった。たぶん、ドーム球場内部くらい?
グラウンド中央部辺りから金銀財宝の山が築かれて内部一杯に広がってて、その山の中央頂点に、居ましたよ。どでかーい真紅の
全身を視野に入れた辺りで、寝そべって瞳を閉じてたドラゴンがぴくりと動いて黄金の瞳に黒い縦長の瞳孔を開いて、こちらの方をきょろきょろと見渡したけど、自分にはっきりと焦点が合う事は無く、また瞳は真紅の鱗に覆われた瞼に閉ざされた。
やばい。幽体離脱なんて、絶対安全な筈の措置取っててもドキドキした!心臓今無い筈なのにだよ!?四枚羽のドローンなんて飛ばしてたら、100%気付かれて撃墜されて、警戒レベル引き上げられてたろうね!
なんてバカな事を言ってる暇は無かった。
竜が寝そべっている位置。おそらく山の中腹から伸びているだろう通路の出口(よりによって竜の頭部の真向かいだった)を確認。
広い事は広いけど、竜が自由に飛び回れる広さは全く無い。とすると、やっぱり最初の一撃次第か。失敗するとかなり痛いな・・・。
通路部分を覗き込んだり、他に逃げ道の様なものが無い事を確認して、おおよその作戦を固めた後、竜の尻尾の部分から怖々と近寄っていき、恐る恐るその背中に乗って翼の根本辺りまで登っていった。
何かむずむずするようで、尻尾がばしばしと床に打ち付けられたりしてたけど気にしない!
肝心要の両翼の付け根部分をじっくりと眺めて記憶に焼き付けたら、今度は頭部へ。
後頭部辺りで降りて、目元や口元辺りもしっかりと観察。お口の中も観察したかったけど、入り込めないようだった、残念。
残り30秒程度で、どうしたものかなと考え込んだところで、くわっと竜の瞳が開き、俺の方をぎろりと睨んで言った。
「貴様、何者だ?」
霊体なので、自分の言葉が聞こえるとは思わず、俺は返した。
「いや、あなたを倒しに来た者ですけど?」
すると竜には聞こえてしまったようで、大笑いされた。
「くははっ!愉快、愉快よのう!最後に愚かな人間どもが来てからは、早数百年以上が経つか?良い、かかってくるがよいぞ!」
そしてぐぱあっと、その大きな口を開き、その中が輝きで満たされた時、ヘルプ機能さんが叫んだ。
<避けて下さい!>
「へ?」
とか言いつつ、俺は前方にダイブしながら何回か前転してブレスの射線から逃れた。そして振り返って見ると、背後の岩肌が溶けてってかあれ蒸発して消えていた?!
驚いてる内に、時間切れになったらしく、自分は体の中に戻っていた。
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