13.フフフッ。この場所僕は、好きだな…。

ふぃ~…。温かい…。

冬は、ここに居る一番だな。

温かいし、静かだし。

それに、君は気が付かないし‥。

ふぃ~…。


「あれっ?どこに行った?お正月用の服、用意したのにぃ~。」

ぬっ?またか…。

クリスマスで調子にのったな…。

2匹のプレゼントじゃ足りなかったか…。

「ねぇー!ママどこに行ったか知らない?」

「さぁ、あんたの部屋じゃないの?」

「いなかったもん。」

「じゃあ、炬燵中は?」

「いない!」

「縁側。」

「そんな寒い所にいる訳ないじゃん!今日もあたしの布団取ったんだよ!」

取ってない。

勝手に入って来ただけな癖に‥‥。


「ねぇ~。どこっ?オヤツあげてもいいよぉ~。」

あげても‥?

普通にくれ。

オヤツ…食べたい‥。

けど、ここは温かい‥‥。

そうだ。ここでオヤツを食べればいいんだ。

よし。


「あっ!声聞こえた!どこ?何処よ!」

だから、ここだよ。

ここ!

君は、本当にどんくさいな…。

今度は、大きめに。

「あっ!こっちだ!洗面所から聞こえる!」

そうそう。

こっち、こっち。


「もうっ~。どこに…って、何してんの?」

何って見て分からないのか?

桶風呂を楽しんでるんだ。

君たちが、出た後のお風呂に、洗面器を浮かせてそれに入る。

これは、冬に出来る最高の贅沢なんだ。

フフフッ。この場所僕は、好きだな…。

それにここは、ホカホカしてて眠たくなる。

ほらっ。その手にあるオヤツを僕にくれ。

「ちょっ!動いたら、湯船に落ちるよっ!」

君みたいにどんくさいないから、大丈夫だ。


「えっ?オヤツ?しょうがないな。今日だけだよ。はい、どうぞ。」

ペロペロッ。

美味い。

やっぱり、マグロ味はさいこー。

「ちょっと!あんた達風呂場で何してんの!出なさい!」

はっ!トンッ!

「あっ!ママ!見てみて、桶ぶぅー――!いっっったぁぁ!!」

ドンッ!トットットットト。

「あっ!」ツルンッ。バシャッ!

「ぬっ濡れたぁーー!ママ、濡れた!」

「そりゃ、そんな所で遊んでるかよ!早く、出なさい。」

ほんと、どんくさいな…。

ママ、僕は賢いから出たよ。

「あらっ。良い子ね!抱っこしようっか。」

なでなでっ。


「ちょっと!ママ、私の心配はぁぁ!もぅ!というか、なに満足した顔してんのよ。」

フフフッ。ママの腕は僕の特等席。

君には、あげないぞ。

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