間話「また未来から子孫が来ました」④
「……なってことです。つまり、君は僕とマクナマラさんの間に生まれた三姉妹の長女で、神によって時間限定ではありますが過去に送られたと言うとですか」
「そうだよー」
「しかも、僕からラッキースケベを受け継いでいる、と」
「そうだねー」
「いろいろ言いたいことは山のようにありますが、神ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい! どこにいるぅうううううううううううううううううううううう!」
遠藤友也は死後に神と会い、異世界転移した過去がある。
以来、再び神と会うことを目的としているが、その理由は――ラッキースケベを取り除くことだ。
だがまさか、何年後の未来か不明だが、娘と神がコンタクトを取れるようになっているだけではなく、忌々しいラッキースケベが受け研がれてしまっている。
あまりにも酷い未来だ。
「あ、神様のことは言っちゃダメだったー! でも、うん、まだセーフ!」
「いや、セーフじゃないんじゃ」
「サミュエルおじちゃんは心配性だねー」
「君はもっと危機感を持った方がいいと思うんだけどなぁ」
のんびりとマイペースな少女は、友也にもマクナマラにも性格面では似ていないような気がした。
「でもねー、元気なお父さんとよかったー。未来では……」
「ま、まさか、僕は」
ニコニコ笑っていた舞が暗い顔をしたので、友也とサムは最悪な想像をしてしまう。
もしかすると、未来では友也は戦いの果てに命を落としている可能性があるのだろうか。
「……お母さんに搾り取られすぎてビンビンじゃなくなっちゃったんだよー! うわーん!」
「しょーもな!」
「……なん、だと!?」
「え? 友也さん、なぜそんなシリアスなお顔を!?」
元気がないってそっちかーい、と突っ込んだサムに対し、友也は絶句していた。
「……一千年以上も守り続けた童貞を失ったと思えば、百年も経たない間にビンビンでなくなってしまったなんて……」
「……どんまい」
「やはり清い妖精さんの化身である僕には、荷が重かったようですね」
「妖精さんに謝れ! ぶっ飛ばすぞ! あ、ちなみに、未来の友也はどのように変わってしまったの?」
「髪は真っ白になって、枯れ木のようにカサカサになっちゃってるよー!」
「絞られすぎぃ!」
「でも、お父さんは頑張ったんだよー!」
なんて未来だ、と友也は膝をついた。
そんな友也に舞が錠剤が小瓶を差し出した。
「未来のクライドおじちゃんからだよー。これでビンビンを取り戻せ、だってー」
「……精力剤かな?」
「効き目は抜群らしいよー」
「仮にも女の子になんてものを持たせているんです! ――はっ、もしかして、君は僕にこれを届けに?」
「……実はそうかなー。お母さん的にはまだまだ子供はたくさん欲しいし、責任を取れって押しかけてくる人たちもいるから、回復して欲しいかなーって。それに、やっぱりお父さんは元気がいいなー!」
ぶわっ、と友也の瞳から涙が溢れた。
「……前世では家族に恵まれない可哀想な美少年でしたが、未来ではこんなにいい子が娘なんですね」
友也は舞を抱きしめた。
すると、舞は淡く発光してしまう。
「もっとお話ししたかったし、遊びたかったけど、未来が変わるならいいかなー。お父さん、元気でね。また未来でたくさん遊んでね」
「約束しましょう!」
「……サミュエルおじちゃん」
「うん?」
「――がんばってねー」
「え? なになに? なんでそんなに憐れんだような目で見るの!? 俺にこれから何が起きるの!? ねえ、ちょっとヒントだけでも!」
「じゃあねー!」
手を振った遠藤舞が消えてしまった。
きっと未来に戻ったのだろう。
「ふふふ。まさか僕の子供があんなに可愛くていい子だとは思いませんでした」
「……相手がおばさんってことにはあんまり驚かないんだな」
「……ははははは。マクナマラさんも意外といいところがあるんです。家事はできませんが、僕ができますし」
「うわー! ていうか、お前にはいい感じで終わったのかもしれないけど、俺は未来が不安になっちゃったよ!」
サムの叫びが、スカイ王国の空に響いた。
■
「おっと、帰還だよー!」
「おかえりなさい、舞」
「あ、お父さん?」
遠藤舞が未来に戻ると、父遠藤友也が出迎えてくれた。
だが、父の姿は舞の知るものと違い、黒髪と、艶のある十代の肉体だ。
「舞のおかげで――ビンビンです!」
「うわーん! ビンビンなお父さんだよー!」
遠藤舞は元気な父と再会できた喜びに涙を流しながら抱きついたのだった。
〜〜あとがき〜〜
次回からシリアス先輩無双が続きます!
コミック1巻、書籍1巻、2巻が好評発売中です!
よろしくお願い致します!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます