間話「また未来から子孫が来ました」②
「であえ、であえぃ! 不法密入国変態だ! 捕らえよ!」
スカイ王国城下町で、黒髪の十五歳ほどの少女が騎士たちに追われて半泣きで逃げ回っていた。
「うわーん! ちょっと老若男女問わずエッチなことしたからって酷いー!」
「貴様のような輩がいるから世界から戦争が終わらないんだ!」
「ラッキースケベと戦争を関連付けるなよー! うわーん!」
少女は逃げている間にも、婦女子のスカートの中を潜り、男性の股間に顔面をぶつけ、まだ幼い少年の上を飛び越えてスカートの中身を見せる変態っぷりを披露していた。
「貴様ぁあああああああああああ! まだやるかぁあああああああああああ!」
「うわーん! スカイ王国は変態に寛容なはずなのに、なんでこの騎士さんたちは僕を目の敵にするんだよー!」
「変態は存在悪だ! 私の婚約者だったシンディーちゃんは変態道を極めるなどとほざいて旅立ってしまったぞ!」
「俺の妹は、三十も歳の離れた悪評ばかりの貴族に自分から嫁ぎ変態ライフを送っているんだ!」
「私よりも若い女の子は死すべし!」
「うわーん! みんな私怨だよー! しかもひとり面倒臭いのがいるよー!」
逃げ続ける少女を追い回す騎士。
本人たちは必死だが、だんだん周囲が「なんだまた変態か」とわかったようで、遠巻きに見守り始めた。
「うわーん! このまま捕まったら女の子の口では言えないような酷い辱めを受けるんだ! お嫁に行けない身体になっちゃうんだー!」
「ええいっ、人聞の悪いことを言うな! 我ら騎士は、スカイ王国に残る紳士たちだ! 絶滅危惧種だ! そのようなことはせん!」
きっと騎士たちは変態的なことを少女にしようなどとは微塵にも思っていないだろう。
ただし、彼らの利き手は腰にある剣に触れている。
抜刀する気は満々だった。
「こ、こうなったら、少しの被害は仕方がないんだよー!」
「て、抵抗するつもりか!」
少女が足を止め、涙目で騎士たちを睨んだ。
刹那、少女から魔力が放出される。
その魔力量は、宮廷魔法使いはおろか、準魔王に匹敵するかそれ以上のものだった。
魔力の放出の余波だけで、騎士たちが吹き飛ばされてしまう。
「おのれ、変態め、スカイ王国には……貴様など太刀打ちできない変態が、まだいるのだ。せいぜい、後悔すると、いい。がくっ」
「うわーん! なんか怖いこと言い残したよー!」
少女は袖で涙を拭いながら、倒れた騎士を踏みつけて王宮に向かい歩き出した。
彼女に緊張もなにもなく、自然体で、まるで最初から知っていたように迷うことなく王宮へ進む。
「はーい、そこまで」
「……え?」
王宮へ向かう道の真ん中にサミュエル・シャイトが立っていた。
目を丸くする少女に、サムは見覚えがない。
しかし、どこか既視感がある。
「うわーん! ようやく知り合いに会えたよー! サミュエルおじちゃん!」
「――っ、まさか! 君はなんらかの理由で未来から過去に渡ってきた誰かの娘さんかな!?」
「正解だよー! 理解が早いよー!」
〜〜あとがき〜〜
シリアスが続いていたので、つい。
……でも、シリアスの時のほうが調子いいんですよねー。
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ぜひ、GWのお供にしていただけたら幸いです!
よろしくお願い致します!
※申し訳ございません。謎の腹痛で数日寝込んでおります。
コメントへのお返事をお休みさせていただいております。
よろしくお願い致します。
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