間話「また未来から子孫が来ました」①





 ※注意:時系列は気にしないでください





 春の日差しが暖かいとある午後の日。

 サミュエル・シャイトは妻リーゼロッテの膝枕を堪能していた。


「たまにはこういうのんびりな日もいいよねぇ」

「ふふふ。サムったら。そんなことを言ったら、またギュンターや友也が仲良く駆け込んでくるわよ」

「うげ」

「あのふたりったら、この間もどっちのパンケーキが大きいか小さいかで喧嘩して……成人した男性とは思えなかったわ」

「あ、あはははは」


 すっかりスカイ王国に馴染んだ魔王遠藤友也。

 かつてはリーゼも「魔王様」「遠藤様」と敬意を払っていたのだが、今は「友也」呼ばわりだ。

 もちろん邪険にしているとかではなく、もう家族のような感覚で名を呼んでいるのだ。

 友也は泣いて喜んでいい。


「友也のことはまあいいとして、今日くらいはのんびりしましょう。昨日も忙しかったんですから」

「そうね。ゆっくりしましょう」


 柔らかなリーゼの腿を堪能していると、急ぎ近づいてくる足音が聞こえた。


「――ボーウッドだな」


 サムの推測通り、獅子族の獣人ボーウッドが立派な立髪を揺らして部屋に飛び込んできた。


「兄貴! 変態です!」

「……それは俺が変態って意味? それとも変態が出った意味? もしくは大変な変態が出たって意味? それとも全部?」

「し、失礼しやした。兄貴、城下町に変態が出ました!」

「いつものことじゃない」


 一度は身体を起こしたサムだったが、通常運転のスカイ王国だとしっかり認識して、再びローゼの膝枕に戻った。


「違いまさぁ、兄貴。今回の変態は一味違うんでさぁ。ラッキースケベの使い手なんです!」

「……また友也がなんかやらかしたの? あいつの苦情とか責任取ってくださいとか、そういうのなぜか俺にくるんだよねぇ。管轄じゃないんですけど!」

「変態魔王ではない、新手のラッキースケベっ子が現れたんです! しかも、女子です!」

「――え? ごめん、ボーウッドくん。俺ちょっとお耳が悪くなったみたい。もう一度行ってくれる?」

「へ、へい。十代半ばの女の子が歩きながらラッキースケベっているんです!」

「どんな状況なのそれ!?」


 スカイ王国の変態どもを熟知しているサムでも知らぬ、新たな変態が現れたことに動揺を隠せなかった。





 〜〜あとがき〜〜

 ……未来から子孫が来たシリーズです!

 さあ、誰の子孫だー!?


 コミック1巻、書籍1巻、2巻が好評発売中です!

ぜひ、GWのお供にしていただけたら幸いです!

よろしくお願い致します!

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