1000話記念SS「悪い子のところにはサミュエルがくるぞ」





 むかーしむかーし、あるところに、スカイ王国というそれはそれは変態が跋扈する恐ろしい国があったそうじゃ。

 かつては魔王を封印する勇者が建国したとても素晴らしい国だったようじゃが、田舎の辺境の地でひょっこり生まれたサミュエル・シャイトという少年のせいで類まれなる変態国家として生まれ変わったんじゃよ。


「ねーねー、おばあちゃん。そのサミュエル・シャイトってどんな人なの?」


 サミュエル・シャイトはのう、ものすごく強かったようじゃ。

 斬ることに特化した変態で、三度の飯より斬ることが大好きな変態だったそうじゃ。


「うえーん、こわいよー。変態サミュエルこわいよー」


 しかもサミュエルは王家の人間で、王女様とも結婚したそうだ。

 スカイ王家、ウォーカー伯爵家、イグナーツ公爵家、ジュラ公爵家、シナトラ伯爵家、雨宮伯爵家、紫伯爵家、そしてシャイト伯爵家にはサミュエルの血を引く子孫がいるのじゃ。


「うわーん、変態の子孫がいっぱいだよー! こわいよー!」


 じゃがな、もっと恐ろしいことにサミュエルはまだ生きていおるんじゃお。


「うわーん、長寿だよー!」


 かつてサミュエルは魔王となり、人を超えた魔族となったんじゃ。それゆえに今もこの大陸のどこかで変態に磨きをかけながら、ありとあらゆる物を斬って興奮しておるんじゃ。

 実際は夜の魔王と呼ばれておったのじゃが、どんな意味じゃろうな。


「うわーん、こわいよー! 魔王サミュエルこわいよー! ベッドの上でも魔王だよー!」


 魔法史の教科書に載るサミュエル・シャイト、ウルリーケ・シャイト・ウォーカー、ギュンター・イグナーツ、デライト・シナトラの四大魔法使いじゃが、サミュエルだけが度し難い変態じゃったのだよ。


「うえーん、サミュエルはやっぱり変態だよー!」


 ギュンター・イグナーツは貴族の中の貴族と呼ばれる人格者じゃった。愛妻家で、民からを慕われ、王からの信頼も厚い。王都を守る結界の基礎も、結界術師の父と呼ばれたギュンターのおかげで今の維持されておるんじゃよ。


「うわーん、サミュエルと違ってギュンターはまともだよー!」


 デライト・シナトラは晩年では、人間の中で最強の魔法使いとされ、多くの敵を倒し、多くの人を救った英雄じゃ。そして、愛妻家でもあったが、少々年下の女性が好みだったのか、ずいぶんと奥様は年下じゃったようだ。


「うわーん、英雄なのにろりこんだよー!」


 そしてウルリーケ・シャイト・ウォーカーは素晴らしい魔法使いじゃった。立てば地割れで、座れば爆発、歩く姿は破壊神と恐れられていた。


「うわーん、サミュエルと違った意味でこわいよー!」


 じゃが、サミュエルよりも恐ろしいのが変態魔王遠藤友也じゃ。

 ラッキースケベ体質だと言い訳して、男女問わずすけべなことをすることに特化した魔王じゃった。


「うわーん、サミュエルよりもこわいよー! 言い訳がへただよー!」


 スケベしては転移魔法で逃げる大陸始まって以来の変態じゃった。


「うわーん、変態魔王こわいよー! 魔王の中で唯一変態がついているよー!」


 じゃがな、そんな変態を受け入れ、大きく国を発展させたのが賢王クライド・アイル・スカイじゃ。


「うわーん、ビンビン陛下だよー! 銅像にいつも悪戯されてる王様だよー!」


 彼の方は素晴らしい王じゃったが、サミュエルと出会ったせいでビンビン大好きな王様になってしまってのう。


「うわーん、やっぱりスカイ王国は変態ばかりだよー!」


 じゃから気をつけるんじゃぞ。

 お母さんの言うことを聞いて、いい子でいないと、


「どうなるの?」


 ――変態大魔王サミュエル・シャイトがくるぞぉおおおおおおお!


「うわーん、変態大魔王サミュエル・シャイとこわいよー! 変態にされちゃうよー! 僕いい子になるよー!」






 子供の躾に必ず名前が出てくるサミュエル・シャイト。

 彼は三百年後の未来でも民から愛されているのだった。







 〜〜あとがき〜〜

 機会があればと思って書いてあったSSですが、1000話記念第二弾としてUPします。

 しょーもない話でごめんなさい(土下座)

 いろいろ未来を想像して欲しいです。

 実はちょっと、未来に関して「おや?」というところがあるので、今後の展開を楽しみにしていただけると幸いです。

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