いずれ最強に至る転生魔法使い 〜異世界に転生したけど剣の才能がないから家を追い出されてしまいました。でも魔法の才能と素晴らしい師匠に出会えたので魔法使いの頂点を目指すことにします〜
お正月記念「友也とマクナマラの×××です」①
お正月記念「友也とマクナマラの×××です」①
遠藤友也は、ギュンター・イグナーツにお金を払い、厳重な結界を張ってもらいスカイ王国の夜の城下町に出かけていた。
いつも詰襟姿の少年だが、今日は珍しくスラックスにシャツの上にジャケットを羽織った格好だ。
「いえ、別に緊張とかしていませんよ。女性とふたりでお酒とか、ヴィヴィアンと飲んだこととかありますし、カルやゾーイともありますから。はははは」
誰にも聞かれてもいないのに、変な事を口走りながら友也は待ち合わせの飲食店に行く。
最近、「お店を持つことが夢だった」という同胞の友人霧島薫子が、女神エヴァンジェリンの支援を受けてお店を出したのだ。
聖女とお店のオーナー兼料理人として二足の草鞋を履くことになった彼女を応援したいと思っていたのだが、友也が応援せずとも聖女の店はいつだって満員だった。
スカイ王国では珍しい食事を提供することと、人気のあるウォーカー伯爵領のワインを安く飲めること、それでいて値段がリーズナブルということもあって人気が出ないはずがない。
しかも、女神エヴァンジェリンはもちろんのこと、王家の面々、イグナーツ一家、ウォーカー伯爵家、シナトラ家、シャイト家という錚々たる面々が集まることもあるので、お店で居合わせることができたらラッキーな感じでも人気だった。
城下町を歩いていると、子供から老人まで「あ、変態魔王だ!」と声をかける。
いろいろ思うことはあるが、悪い意味の愛称ではないので苦笑して手を振る。
かつて大陸西側で暮らしていた頃、特に魔王ヴィヴィアン・クラクストンズの治める夜の国によく足を運んでいたが、このような気さくな扱いをされたことがない。
ラッキースケベという厄介な体質を持っているせいもあるが、単純に魔王遠藤友也が恐ろしいのだ。
スカイ王国の民は、友也の強さや恐ろしさをいまいちよくわかっていない。そのため気軽に接してくる。露天のおばちゃん、飲み屋のおっちゃんとも顔見知りになった。
この国は遠藤友也にとって、心地のよい国だった。
「かつてはレプシーを封じていた国だったので、いろいろ思うことはあったんですが、不思議なものですね」
城下町の喧騒に耳を傾けながら、霧島薫子の「異世界召喚亭」と日本語で書かれた看板を掲げた店についた。
ネーミングセンスはどうかと思ったが、日本語なので少し気に入っている。
「待っていたぞ、遠藤友也」
「お待たせしました、マクナマラ・ショーン」
店の前では、少しおめかしをしたマクナマラが待っていた。
なにかと理由をつけて飲みに誘われていたが、なんとなく関わりを持つべきではないと思って断っていた。
振られたから、とかではなく、神聖ディザイア国の人間であるからだ。
万が一、国の危機が訪れれば、彼女は敵に回るかもしれない。ならば、あまり親しくするものではないと思ったのだが、先日に十回目のラッキースケベをしてしまった謝罪を兼ねて飲みに付き合う約束をさせられてしまったのだ。
「いつもと雰囲気が違いますね?」
「そうか? 偉大なる女神エヴァンジェリン様の聖騎士としての格好とは違うが、普段の私服はこんなものだぞ」
「そうでしたか。お似合いです」
「……驚いたな。スケベだけではなく、女性を褒めることもできるんだな」
「あなたは僕をなんだと思っているのですか」
「はははははは、冗談だ。さて、店に入ろう。今日はお前の奢りだから、たくさん飲むぞ!」
「お手柔らかに」
男女のデートというより、友人と飲む感覚で接してくれたマクナマラにちょっと安心しながら、気が楽になった友也は店の扉をくぐった。
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