第3章
第30話:復活
カーミラが復活する事を心から請い願い祈っていた。
だがその願いはかないそうになかった。
だから諦めて安楽死を決断した。
決断しなければいけないくらいルークが苦しんでいたから。
獣医院に連れて行って処方してもらう事もできた。
でもそれでは無責任だと思ってしまった。
だが流石に自分の手で首を絞めて殺す気にはなれない。
少しでも苦痛の少ない方法で殺してやりたかった。
何か薬を飲ませて楽にしたやりたかった。
痛みで常に苦痛を訴えるルークを楽にしてやりたかった。
今日までかなわぬ願いで苦痛を引き延ばした責任を取りたかった。
だから獣医師さんから薬をもらった。
獣医師さんが飼い主に渡せる薬には制限があった。
その制限の中で手に入れられる薬で一番苦痛の少ないモノを選んでもらった。
これを飲ませれば楽に殺してやれる。
そう思ってもなかなか決断できなかった。
苦痛の鳴き声を聞いてもなかなか踏ん切りがつけられなかった。
自分の不甲斐なさにボロボロと涙が流れる。
ここ二日三日ずっと逡巡してばかりだった。
今日も朝からずっと決断できないでいる。
ルークとクロスケとダンボを寝返りさせ続けていた。
ダンボはまだ大丈夫だがクロスケも床ずれをできはじめている。
本当にもう限界なのだ。
涙を流すだけでなく、嗚咽まで漏らしている事にようやく自覚した。
ここ二日三日は時間も忘れていた。
特に今日は何時夜が明けたのか何時日が暮れたのかも分かっていなかった。
ようやく既に日が暮れてしまっている事に気がついた。
半日以上もの時間、三頭を前に逡巡していたのだ。
ルークだけは殺す、ようやくそう決断した。
「よくやった、少し眠るがいい」
いつの間にか、カーミラが俺の横にいた。
初めて見る、俺に向けられた慈愛の表情だった。
ゆっくりと俺の頭にカーミラの右手が伸びてくる。
初めて会った時のような、全く力を感じないカーミラだ。
ヴァンパイアハンターに心臓に杭を打ち込まれた事で力を失ったのだ。
今度またヴァンパイアハンターに殺されたら本当に死んでしまうかもしれない。
そう思うと同時に気を失ってしまった。
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