春の桜と進む刻

遊星ゆの

第1話

春の桜と進む刻。配役/設定


男女比率 1:2


登場人物


葉月 紗那 (はづき さな)

夢咲高校 3年生(18歳)

教師である颯斗に片想い。

璃桜とは中学からの親友

就職を機に東京での生活が始まろうとしている。


北川 璃桜 (きたがわ りお)

夢咲高校 3年生(18歳)

紗那と中学からの親友。

紗那が東京に行くことを知って少しお節介を焼く。


飛鳥 颯斗 (あすか はやと)

夢咲高校 教師 (30歳)

実は紗那の事が気になっている。

年度末で転勤。

紗那の手紙で動揺する。


Nは颯斗が兼役をお願いします。


配役表

葉月 紗那:

北川 璃桜:

飛鳥 颯斗/ナレーション:


使用場所

ツイキャス声劇・Skype声劇での金銭が発生しない物のみ許可。

金銭が発生する場合は使用不可。



連絡はTwitterまで。

ID→@Lon___y15


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春の桜と進む刻。前編


N 各地で卒業式が執り行われる時期。

この夢咲高校でもまた例年通り卒業式が始まろうとしていた。


(間)



璃桜「紗那おはよ!」


紗那「あっ!おはよ!!!!」


璃桜「やっと卒業出来るー!!!髪の毛染めれる!!!」


紗那「高校生もこれで終わりかぁ。って、そこ?!」


璃桜「うん。大事じゃん?」


紗那「まぁ分からなくもないのだけど……」


璃桜「何か言いたげだねぇ……」


紗那「なんか違う気がしただけよ。」


璃桜「なんでよ!!!」


紗那「んーでも縛られることが少なくなるから気楽になるかもね。」


璃桜「あっ。そういえば……伝えるの?」


紗那「まだ悩んでるかなぁ。」


璃桜「最後のチャンスかもしれないよ?」


紗那「分かってる。後悔だけはしないようにするよ。」


璃桜「それがいいね。じゃあまた後でね!」


紗那「うん。また後で!」


紗那M 校舎までの道を璃桜と一緒に歩くのも今日が最後かぁ……。ふと感傷に浸りながら教室までの道を歩く。


紗那「あぁ…今日で卒業かぁ。早いなぁ」


颯斗「お、いたいた。葉月卒業おめでとう」


紗那「先生!!!ありがとう!!長かったなぁ」


颯斗「厄介なのがやっと卒業するな」


紗那「ちょっと?!どういうこと!!」


颯斗「ん?そのままの意味だけど。」


紗那「うわっ。むかつくー。」


颯斗「まぁまぁ。とりあえずおめでとうな?」


紗那「うん。ありがとう。」


颯斗「じゃ準備あるから後でな?」


紗那「卒部会来る?」


颯斗「おう。行く。」


紗那「わかった。じゃ、後でね!」


紗那M 今日は私の卒業式。

あんなに学校に行きたくないと

逃げ出してしまいたいと思っていた頃には

卒業式が辛いなんて思ってもなかったのに。

今は何故か卒業したくないんだ……



(間)





N無事に式典が終わり各々が教室で最後のホームルームを受けている。最後のホームルームが終わり学友との最後の時間を楽しむ生徒たち。


颯斗「よし。部活に顔出してやるか」


紗那「失礼します。飛鳥先生居ますかー?」


颯斗「ちょっと待ってて。」


紗那「はーい。」


颯斗「どうした?」


紗那「んーと。これあげる。」


颯斗「いや、要らない」


紗那「先生、今日誕生日でしょ。誕生日プレゼント。」


颯斗「この花は要らん」


紗那「それも一緒なの!!!」


颯斗「分かったよ。置いてくるから待ってろ」


紗那「うんっ。(照れる)」


颯斗「行くぞー」


紗那「はーい!!」


颯斗M「俺と結婚するなら働いてくれよな」

なんで俺はあの時にボヤいたんだろうか。

少なからず俺も気になってるってことだな。

あぁ。早いな……あいつが卒業か。

俺もそろそろ転勤が近いから

腹括らなきゃだわ。


紗那M この道を歩くのも、この背中を追いかけるのも

今日が最後なんだ…

そう思うと寂しいな。


(間)




璃桜「紗那お疲れー!やっと終わったよー。」


紗那「んー…なんて言えば伝わるのかなぁ」


璃桜 「紗那……?どうしたのー?」


紗那「あ、いや。ちょっと物思いにふけってただけ。」


璃桜「なるほどね」


紗那「特に何も無いから大丈夫だよ。」


璃桜「そっか。辛くなったら言うんだよ?」


紗那「ありがとね!」


璃桜「これ相当悩んでんなぁ(小声)」


紗那「ん?何か言った?」


璃桜「なんでもないよ。さて。卒部会楽しみますか!」


紗那「そうね。楽しもうね!」


璃桜「あっ!!!!飛鳥先生みーつけた!!!」


颯斗「卒業おめでとう。」


璃桜「ありがとう!!あ、ちょっと呼ばれたから行ってくるー!」


颯斗「はぁ……うるさいのが2人卒業したわ。」


紗那「ちょ、それは酷くない?」


颯斗「事実だろ。」


紗那「遅刻して騒いでばっかりで迷惑かけたなとは思ってるけど!!!!」


颯斗「就職先では遅刻すんなよ?」


紗那「それは社会人だししませんー。」


颯斗「頑張れよ」


紗那「うんっ!あ、最後に一緒に写真撮りたい!!」


颯斗「いいよ。記念だし撮るか。」


紗那「やった!!!!璃桜呼んでくる!!!」


颯斗「はいはい。仲がよろしいことで。」


紗那「仲良しだよ!!璃桜ーーちょっと来てー!」


璃桜「はいはーーい。呼んだー?」


紗那「璃桜、颯斗先生と写真撮りたいんだけどカメラマンしてよ!!」


璃桜「いいよー!!」


颯斗「変な時に撮るなよー?」


璃桜「行きますよー。はい。チーズ」


紗那「璃桜、写真どんな感じ???」


璃桜「これどう??」


紗那「わぁ。いい感じ!!ありがとう!!!!!」


颯斗「俺にも見せてくれよ。」


紗那「これ!!!こんな感じ!」


颯斗「おっいい感じになってんな。」


璃桜「この2人いい感じ。激写しとこ。(小声)」


紗那「璃桜、颯斗先生、ありがとう!!」


颯斗「おう。春から頑張れよ。俺仕事あるから戻るわ。」


紗那「うんっ!!!」


璃桜「紗那ー。そろそろ帰ろーよー。」


紗那「はーい。準備するー。」



(間)




N 個室のある焼肉屋を予約して談笑に花を咲かせる2人。卒業式の余韻に浸りながら楽しい時間を過ごしていた。


紗那「お疲れ様ー!!!」


璃桜「お疲れ様!!早速染めてきたの!!!」


紗那「早すぎるよー!!!」


璃桜「昨日卒部会が終わってから直ぐに行ってきたの!」


紗那「垢抜けした感じがして似合ってるよ!!」


璃桜「本当?やったね!!!」


紗那「いい感じに染まってよかったね!!」


璃桜「あ、そういえばさ……。正式な辞令が出てないから確証はないけど、飛鳥先生転勤するかもしれないんだって。」


紗那「えっ……」


璃桜「辞令が出るまで言えないけど、本当らしいよ。4月から別の高校に行くんだって。 。」


紗那「そっかぁ…やっぱり転勤かぁ」


璃桜「あれ?知ってたの?」


紗那「いや、何となくそんな気がしてたの。」


璃桜「そうなんだ。てっきり本人から聞いてるのかと思ったよ。」


紗那「あたしも東京に引っ越すからなぁ……時間作れるかなぁ……」


璃桜「えっ?!あたしも聞いてないんだけど?!伝えたの?」


紗那「あれ?言ってなかったっけ。ごめん。先生には伝えてないよ。」


璃桜「早く伝えてきなよ!」


紗那「予定が合えば会いに行きたいけど。引継ぎとか大変なの知ってるからさ。手紙だけ出すよ」


璃桜「ほんと……強情ね。」


紗那「誰よりも幸せになって欲しいからね。」


璃桜「つまりは困らせたくないと。」


紗那「うん。そういうこと。」


璃桜「後悔しないようにね。」


紗那「ありがとう」


璃桜M 紗那が東京に行くなんて聞いてなくて

簡単に会えなくなるって思うと寂しいなぁ。

でも……この事実を先生が知ってしまったら

もっと寂しい思いをするのかな……

写真はまた今度送ってあげようかな。



(間)



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紗那M 颯斗先生へ

お元気ですか。

私は相変わらず元気です。


颯斗先生にはたくさんの感謝と謝罪しか出てきません。

本当にたくさん背中を押して頂いて

辛くて苦しくて悩んだ時に支えて頂いて

本当にありがとうございました。


私はこの春から東京へ行きます。

就職先が無事に決まり

東京での生活になることが決まりました。


颯斗先生も転勤されると聞きました。

どこの学校に配属されるかは分かりませんが

これからも無理しない程度に頑張ってください。

颯斗先生なら大丈夫だと信じています。

陰ながら応援してます。

3年間お世話になりました。


P.S

出逢ってくれてありがとうございました。

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紗那「今日の帰りにポストに入れておこう。」


璃桜「お待たせー!!!あれ?手紙?」


紗那「うん。きっと会えないから。」


璃桜「そっか……。出発いつ?」


紗那「来週には発つ予定。」


璃桜「そっかぁ……寂しくなるなぁ。でも、早くない?」


紗那「あたしも璃桜に会えなくなるの寂しいよ。少しでも生活に慣れておきたいからね。」


璃桜「行かないで。なんて言えないもんね。それは大事だね。」


紗那「まぁ就職だからね。休みが取れたら帰ってくるよ?」


璃桜「あたしも会いに行くよ!!」


紗那「本当に?楽しみにしてるね!」


璃桜「うんっ!!行く!!!本当に飛鳥先生に最後に会ってから行かないでいいの?後悔しない?」


紗那「んー……わかんない。後悔しないかって言われたらすると思う。」


璃桜「飛鳥先生も言い出しにくいんじゃない?」


紗那「多分ね。あの人素直に言わない人だからね。」


璃桜「分かってるなら会いに行ってあげなよ。」


紗那「会ったらこの気持ちが揺らいでしまいそうだから……行かない。」


璃桜「そっか……。」


紗那「あたしは大丈夫だよ?」


璃桜「紗那が言うならこれ以上は何も言えないかな。」


紗那「心配してくれてありがとうね?」


璃桜「ううん。いいんだよ。さて。楽しみますかぁ!!」


紗那「そうね。楽しも!!!!」


N 新居に必要なものやお揃いの小物を見ながら楽しむ2人。楽しい時間を過ごして最期の思い出作りを楽しんでいた。



(間)




璃桜「失礼します。飛鳥先生いますか?」


颯斗「どうした?って髪染めたのか。」


璃桜「卒業式の翌日に染めてきました。」


颯斗「まぁ卒業したとは言え月末まではここの生徒なんだぞ?」


璃桜「知ってまーす。」


颯斗「程々にな。」


璃桜「はい。それは分かってます。ところで……」


颯斗「ん?なんだ?」


璃桜「紗那が東京に行くって知ってました?」


颯斗「えっ……?本当か?」


璃桜「私も少し前に聞いたばかりなんですけどね。」


颯斗「そう言えば手紙が届いてた気がするな。」


璃桜「無事に届いてたんですね。よかったです。もう読まれました?」


颯斗「いや、今朝届いてたから読んでない。」


璃桜「来週発つって言ってましたよ?」


颯斗「早くないか?!」


璃桜「少しでも早く向こうの生活に慣れたいそうです。見送り行く予定なんですけど……先生も行きませんか?」


颯斗「俺も異動だから行ける保証がない。」


璃桜「相変わらず…忙しいんですね。もし来れそうなら来週水曜日の13時05分発の新幹線に乗るみたいなので。って伝えておきますね。」


颯斗「転勤もあるからな。一応把握だけしとく。」


璃桜「止めないんですか?」


颯斗「最後まで粘って決めた就職先だからな。それに俺が止める権利なんてないよ。」


璃桜「飛鳥先生って本当に紗那に似てますね」


颯斗「ん?葉月か?」


璃桜「意地っ張りで強情で時々すごく弱くて。」


颯斗「あー葉月か。多分葉月が俺に似たんだよ」


璃桜「うわっそれは酷い。」


颯斗「葉月にチクるなよ?」


璃桜「分かってますよ。そんなに好きなら止めればいいのに。新幹線は自由席らしいですし……」


颯斗「あいつが頑張るって決めたんだろ。応援してやるしか出来ないよ。」


璃桜「紗那も似たようなこと言ってましたし。本当に似た者同士ですね。」


颯斗「だからさっきも言っただろ?似たのは葉月だって。」


璃桜「飛鳥先生、後悔しないでくださいね、」


颯斗「俺は……。いや、大丈夫だ。」


璃桜「さてと。伝えるべきこと伝えたしそろそろ帰りまーす。新天地頑張ってくださいね?たまに連絡します。」


颯斗「おう。北川も頑張れよ!」


璃桜「はーい。さようなら。」







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颯斗M 嘘だろ……。

なんだよ……出逢ってくれてありがとうって。

これで最後なんて信じたくねぇ。

目を見て話せよって何回も教えたのに

最後まで強がるなよ……


あいつが頑張るって決めたなら

俺も応援してやらないとな。

負けないように頑張るか。


いつか……必ず。


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紗那「もう少しで出発だなぁ……。」


璃桜「紗那ーーーー!!!」


紗那「璃桜ー!!!」


璃桜「気をつけて行くんだよ?」


紗那「璃桜、ありがとう。」


璃桜「お節介かもしれないけど飛鳥先生には伝えておいたから。」


紗那「璃桜……ありがとう。」


颯斗「どこだ……。あっいた。」


璃桜「紗那行ってらっしゃい。頑張ってね!」


紗那「うんっ!!!!!行ってきます!」


颯斗「葉月っ!」


紗那「は…颯斗先生……。なんで……」


颯斗「頑張れよ。」


紗那「ありがとう……。先生も転勤先頑張ってね……。行ってきます。」


N まもなく13時05分発 東京駅行きの電車が到着致します。ご乗車の際は乗車券の他に特急券が必要となります。


紗那「見送り……来てくれるなんて思ってなかったよ……颯斗先生……ありがとう……。」



(間)




紗那「もしもし?今大丈夫?」


璃桜「久しぶり〜!大丈夫だよー!」


紗那「よかったぁ!!!少し話したくてさ。手紙ありがと。」


璃桜「珍しいじゃん。どうしたの?無事に届いてよかった。写真同封しといたよ。」


紗那「仕事にも慣れてきて秋頃にまとまった休みが取れそうでね。これがあれば頑張れるよ。本当にありがとうね。」


璃桜「えっ!!!ほんとに?!」


紗那「その頃なら貯金も出来るかなぁって思ってさ。」


璃桜「うんうん!!!どこか行く?」


紗那「地元に遊びに帰ろうかなって思うんだけども。」


璃桜「帰ってくるの!?会いたい!!!!!」


紗那「ふふ。璃桜ならそう言ってくれると思った。」


璃桜「そりゃ親友には会いたいでしょ!!!」


紗那「そうだよね。とりあえず帰る方向で考えておくね!」


璃桜「楽しみだなぁ!!」


紗那「話は変わるのだけど最近颯斗先生と話した?」


璃桜「あ、そうだ!!颯斗先生転勤の辞令正式に降りたって!」


紗那「えっ…?」


璃桜「本当だったみたい。」


紗那「そっかぁ…そうだよね。うん…(半泣き)」


璃桜「大丈夫??」


紗那「大丈夫だよ。あたしもあの人から卒業しないとだからね」


璃桜「本当にあんたって強がりよね」


紗那「え?そう?」


璃桜「うん。すごい強がり。」


紗那「一方的に終わらせたのに今更会えるわけないじゃん。」


璃桜「でも好きなんでしょう?」


紗那「そりゃあ好きだよ?なんなら愛してるよ?」


璃桜「だったらなんで行かないのよ」


紗那「迷惑掛けたくないし負担になりたくないから。それだけの事だよ」


璃桜「素直になりなよ。」


紗那「いいの。あの人には幸せになって欲しいの」


璃桜「紗那の幸せってベクトルが低い気がする」


紗那「よく言われる。」


璃桜「後悔しない?」


紗那「颯斗先生にはもっと素敵な人がいるから。いいの。」


璃桜「そこまで言うなら何も言えなくなるけどさ。」


紗那「大丈夫。前向いて進むから……ね?」


璃桜「そっか。じゃあ見守ってる。」


紗那「ありがと。あっ、ごめん。仕事行かなきゃだからまた今度ゆっくり話そうね!」


璃桜「うん。頑張っておいで!」


紗那「ありがとう!!行ってきます」


璃桜M あーあ。あの2人両片想いなのにすれ違ってんなぁ。幸せになって欲しかったんだけどなぁ。なーんてね。



(間)



颯斗「新天地だ…さて。頑張るか」


颯斗M ふと歩きながら葉月を思い出す。

俺はあいつを止めたら良かったのか?

あいつの手紙の住所変わらなかったら

いつか迎えに行ってやりたいな…

まぁ頑張ってるだろうから

俺も頑張るか……


俺も愛してるよ…あのバカを。


紗那「会いたいけど今は会えないから……頑張る……

会いたいよバカっ…颯斗先生が居なかったら耐えられないなんて甘えたこと言ってられない。さっ。仕事仕事。」


紗那M ねぇ……颯斗先生

貴方にはあたしよりも素敵な人が居るよ。

だから……幸せになってね。

あたしはこの写真があれば頑張れる。

長い両片想いなのは分かってたよ。

出逢ってくれてありがとう。

心から愛してる。さようなら。

あたしの初恋。


------------------続く------------------

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