第8話 横浜銀蝿とセーラームーン~口コミのメカニズム
私は若い頃から、これ(後者ね~苦笑)だけはよく観ておりました。というか、私がこれを観ていることは、数千人単位で知れ渡っていたように思われます(いやマジで)。ときどき私は、口コミのメカニズムについて話をすることがありますが、どんなものが口コミになりやすく、しかも早く伝わるのか、というお話。
いい話はなかなか伝わらないが、悪い話はすぐ伝わる。
これは確かに、一面の真理をついています。
しかし、その程度では説明が不十分です。
いくら悪い話といっても、伝わる人にわかりにくい話や、照明がしにくい話などは伝わりにくいものです(だからいいとは言わんけど)。
例えば、何とかさんという人の仕事ぶり、特に事務処理能力は低いとか高いとか、そういうのは、仮にその人にとって悪い話であったとしても、伝わりにくいものです。というのも、それをだれがどこで見てどうこうという点でもわかりにくいし、だいいち、相手となる人や対象となる仕事あっての話ですから、そういったことまで配慮に入れないと、それを立証できない。もちろん、そこになにがしかの特徴的な動作などがあれば、話は別でしょうけどね。
人間というのは、「形」に反応するものですから。
さてさて、そこから考えてみれば、例えば私の塾講師や家庭教師としての能力とか何とか、そういうものは、意外と伝わりにくいものですわな。いいという人もいれば、そうでない人もいる。でも、それを立証するのは、存外難しい。相手により、状況により、違いがどうしても出ますから。
それでも何か噂を引出そうと思うなら、どうするか。
わかりやすいものを提示すればよいのだが、ただわかりやすいだけでは駄目。
意外性のこもったものを出す。あるものとあるものを並列して、組合せの妙に「寄って」出すと、なおよい。
セーラームーンがテレビ放映され始めたのは、1992年。
今からもう30年近く前の話。
その頃子どもだった人も、今ではいい歳の大人です。当時大学生だった私が、もう50代に入っていますからね。さて、当時の国立大学の法学部(母が孫相手に私の悪口を行った際に反撃に使うのは、この言葉です~苦笑)の学生で、司法試験に手を出しかけているような人物が、なんと、小さい女の子向けのアニメを喜んで観ている、それがなんと、兄弟姉妹か親戚の子と一緒に見ているとでもいえばまだしも、独身で、しかも自分の趣味で観ている、となれば、今以上に意外性があったことは想像に難くない。当時のいい大人の人たちからすれば、わけのわからん「新人類」の行きつくところ、ぐらいに思われていたかもしれません。
私の生まれた昭和40年代ほどではなくても、まだ、
「漫画なんか読むのは、アニメなんか観るのは、活字の本を読んだり映画を観たりするのに比べてレベルの「低い」行為である」
なんて考えが完全に払しょくされていなかった。それに加えて、連続幼女誘拐殺人のMなる人物を引合いに出されて、大いに迷惑でしたわなぁ。
そんな調子でしたから、現にあの頃、そのネタだけで結構私の「致命度(やっぱり、こっちだと思う。ほんらいの「知名度」よりも、ね~苦笑)」は急上昇でした。特に中学生前後の生徒さんらには、ね。さらにそこで、「横浜銀蝿」を組合わせてみました。私の世代の不良中学生ならまだしも、私のような大学生がこういう曲を聴くのは、ちょっと違和感を持たれるところもありましたから、なお吉。
そこで「横浜銀蝿とセーラームーンは矛盾するか?」という命題を出すと、たいていの生徒が、「矛盾する」と応えてくれました。
まあその、このときの経験から、良くも悪くも私のイメージができたわけですが、ともあれ、口コミというのは、「意外性」から発展するものであるということ。
期せずして広まるものもあれば、意図的に広げるものもありますよ。
さて、本日は2021年1月8日。
なんでこんなことを書いたのかと申しますと、実は今日から、美少女戦士セーラームーン・エターナルという映画の全編が公開されるからなのです。
そういうわけで、今日は、映画館に行ってまいります。
それでは皆さん、ごきげんよう。
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