フェイの武具を他国に輸出する

その日、フェイと国王、それからユースとシャロを含めた会議が行われていた。


「それで会議の趣旨ではあるが、いかんせんあの時の戦争で国力が低下した。何かと金がかかったのだ。武器や装備もそうだし。兵士もそうだ。兵士を失った家庭には保障金を払わなければならない。そして怪我をしてもう戦えなくなった者もそうだ。だが、治療をすれば治る可能性もあるから幾分はマシだがの」


「そうですか……では外貨の獲得は必至というわけですね」


 俺は語る。


「そうだ。そこでわしに考えがあるのだ」


 エルフ王は自身の考えを語り始めた。


「俺の武具を輸出ですか?」


「そうだ。フェイ殿の武具はどれも天下逸品。多少質を落として大量生産しても引く手は数多であろう。我がエルフ国に望外な利益をもたらすに違いない」


「そうですね。それは悪くない考えです」


「さらにその武具を大帝国以外の国に輸出する。そういう事で多国と大帝国の武具の性能差を無くし、戦力差を縮めようという魂胆もある」


「そこまで考えているのですか。流石エルフ王です」


「何を言っておる。それもフェイ殿の武具があってこそじゃ」


「ええ。そう言って貰えて嬉しいです」


「それで頼まれてくれるかなフェイ殿。大帝国との戦争で大活躍をした後で大変申し訳ないのだが。もう少し休ませてやりたいくらいじゃ」


「いえ。構いません! 必ずやり遂げて見せます!」


 こうして俺は輸出品となる武具の生産に舵を切る事になった。

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