第49話 知らない『過去』
再び俺と幸との出会いからやり直された世界。
何が起きるかは把握しているから、前のように波乱万丈というわけでもない。
けど、逆に言えば起きることは変わっていないということにもなる。
やっぱり結局、暁は俺たちの前から姿を消してしまう。
……けど、それにへこんでいる場合じゃない。
アイツとはまた連絡が取れるだろうと信じて、俺はあの夏祭りの日を越えた。
組織の拠点は変わらない。
どこにあるのかは相変わらずよく分からないが……
話すことは変わらない。
メンバーも当然だろう。
そう、思っていたのだが……
「はじめまして、
「!?」
いた、知らない顔が。
何ヵ月かとはいえ一緒に戦ったメンバーを忘れるわけないが、一応記憶と照合してみる。
おっちゃん、翔、桜見、理仁、新雲、望月、端寺さん……
やはり、俺の記憶に『成宮雅人』の名前はなかった。
「どうしたんだ?剛。そんなに驚いた顔して」
「あぁいや、なんでもない。よろしく」
カケルからの声で色々と考えていた頭が引き戻される。
そういえばカケルと話すのも久々だな。
急に出てこなくなったし。
(それにしても、一体なんで俺の知らないメンバーが増えてるんだ?)
突然何の理由もなしに世界に変化が起きるなんてそんなことはあり得ないハズだ。
俺は過去に戻っただけだから、変化の理由があるとすればその後のことで、おまけに変えられるのも未来を知る俺だけ。
謎は深まるばっかりで、一向に答えは出なかった。
………………
「あー……眠れねぇ」
成宮の事がどうしても頭を離れなくて中々眠れない。
ちなみに俺の横では幸が眠っている。
久しぶりに見たけど、やっぱり寝顔可愛いな……
今は深夜だし、ちょっとくらいほっぺたをつついたって……
「大風君、ちょっと……あ」
「へ?」
「シツレイシマシタ」
……そう思っていた時期が私にもありました。
「待て待て待て待て待て待て待て待って!!」
「穂ノ原さん起きちゃうよ?」
「……お、おう。とりあえず何か用があるのか?」
「う、うん。ちょっと話しておきたい事があって」
「話しときたい事?」
「うん。これから一緒に戦ったりするんだったら覚えていて欲しい、僕のお話」
こちらとしては嬉しい話。
謎が解けるかもしれないし、そうでなくとも仲間になるのならお互いの事を知っておいた方が信頼しやすいというものだ。
だから、断る理由なんてない。
「あぁ。今行く」
「ありがとう。共有スペースで待ってるね」
しかし、成宮……
……やっぱり、心当たりないんだよなぁ。
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