身をもって体感

 こたつに入り犬をなでながら私は映画を見ていた。

「いやあ、本当にこの映画はシュールだなぁ。な、そう思わんか?」

「お父さんね。シュールって意味本当にわかってんの?」

「ん?シュールはシュールだろ?」

「…………」

「え?何?違うの?え?どういうこと?」

「お父さんのは何となく笑ってるだけ。シュールって言ったらかっこいいと思ってるだけ」

「…………」

「不条理な、超現実的な、難解な、とかそういった意味よ。わかる?」

「えと、あの、じゃあ具体的に、シュールなシーンとかっていうのはどういったもので?」

「……そうね、今みたいな状況を(シュール)って言うんじゃないかしら」

「…………」

「……また、わけのわからないこと言ってたら私、飛んでくるから」

 娘はそう言って二階に上がった。犬も娘についていった。

「……俺が稼いでこの扱い、不条理な日常……おやすみ」

 エンドロールの音楽が心地よかった。

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