神と悪魔のお戯れ
「さて、いい加減我々悪魔と貴様ら神々のどちらが優れているかはっきりさせようではないか」
「おもしろい、あまり争いごとは好みませんが……よろしい、受けて立ちましょう」
「よし、それではあそこにいる男、ほらよく見ろ、あの男だ。やつの愛する妻に呪いをかけてやろう……最愛の者の苦しむ様は何よりもつらいというではないか……我々悪魔の恐ろしさを存分に知らしめてやる」
そう言うと悪魔は唸るような声で呪文を唱え、女に呪いをかけた。
みるみるうちに女は弱り、床に伏し、自力で立つこともできないくらい衰弱してしまった。
「なんてことだ、ついさっきまで元気に二人で会話を楽しんでいたのに……おお!神よ!彼女を救いたまえ!」
それを見ていた神と悪魔。
「御覧なさい!男は神に救いを求めているではないですか!悪魔の力を思い知らせようとして、神への信心をより深いものにするなんて、あなた達悪魔は本当に面白いことをなさる!」
「ぐぬぬぬぬ……こんなはずでは……」
「さあ、それでは私どもの力で呪いを解き、さらに前よりも健やかにしてあげましょう」
神々は美しい声で賛美歌を歌い、女にかかった呪いを解いた。
女は先ほどとは打って変わって元気になった。
顔色もよくなり、次々と出された食事を平らげる。
「なんてことだ、元気になったと思ったら腹がすいたと言い出して次から次へと飯を食いやがる!あちち!またやけどだ!私はいつまで料理を作り続けなければならんのだ!それにこのままでは彼女の食費だけで破産してしまう!……もしや、悪魔の仕業か……そうだ!悪魔に違いない!彼女に悪魔が憑りついてしまった!!なんと恐ろしいことだ!!!」
それを見ていた神と悪魔。
「ぶははははは!!!男は妻が悪魔に取り憑かれたと勘違いしておるぞ!神々のありがたい祝福で悪魔の恐ろしさを実感することになるとは!!いやはや神々の皆さんのお力は大変素晴らしい!」
「うむむむむ……こんなはずでは……」
「さて、それでは我々の番だな……さあ今度はどの手を使おうかな??」
もてあそばれてもなお、人々は神に救いを求め、悪魔に恐怖するのである。
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