第一章 原初にて、開闢の地
イェードという少年
一〇〇人ほどの人々が、凍土を歩いていた。
人々の列は、ひし形に近い形、やや丸みと
イェードという少年は、たまに粉のような雪が胸などに入るたびに不快な思いをしていた。
皆が服を、外の冷気を通さず、身体の熱を逃さない毛皮を
イェードは戦闘要員として隊列の最前列、隊長の手前を歩いていた。
その凍土を思わせる、やや伸びた銀髪に
得物は『
加工には高い技術を必要とし、物々交換なら肉牛の十頭と比べられるほどの価値があった。
薄い刃となったイェルダントの牙は
ファングボーンはイェード自身の身長程もあり、彼の名前もその獣の名前から取られていた。
製鉄の概念すらほぼない時代であり、武器はこうした
大半の者はその地に留まり、イェードのような者たちは
「
イェードは隊の長であるニクラムに声をかけた。
イェードの視力は非常に良いので、遠く離れた敵にはすぐに気がつく。
さらに今いる場所は、雪がちらちら降っているとはいえ、見晴らしのいい凍土だ。
「
返り討ちにしましょうか」
イェードは言うが早いか、得物であるファングボーンを構えた。
魔力が全身から発光し、全身の筋力が強化されているのが外からでもわかった。
狩りの構えだ。
敵対種の力を嗅ぎ取った狼が、尻尾をまいて撤退していく。
「イェード。
十分な戦果だ」
ニクラムにそう言われて、イェードは複雑に嫌な気持ちと、面持ちになったのだった。
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