タイニーナイト・リバー/歌詩一覧

どすこい恍惚の檻

錆色の街

錆色の街

極相の地に芽吹かば漏れ無く枯れゆく

今日も雨だれに誰か赤子の泣く声があっけなく消えゆく


道逝く明日の亡霊

朝日昇る頃にゃ二、三

死体が這いたる怪小路


オダマキの陰にとぐろを巻き睨め付ける冥を横目に

気味悪く澄んだ赤い水溜りの中

酷く冷えた金貨片手に朝に焼かれるきみを見た


What happened? I do not know.

What happened? No one knows. It's natural. There is no street light in this city.

So don't ask. Do'nt know. Do'nt look. Not say.


そう、繰り返される日雇いの労も業も愛も快もbuyもbye-byeできやしないよ。

この街自体も餓飢達の価値も過ちも。

全て極相の陰と雨だれに覆われ掻き消され

草原をゆく羊たちにゃ永遠に無縁の故事。


売れ残りのパンを攫って

錆びついたワイシャツの袖の汚れを払って

違法建築の狭間で空を見る

明日はきっと雨が降る


くたばる今日の亡霊

夕日落つる頃にゃ、二、三

肢体が灰たる埋葬地


「ただいま」

冷たく錆びたドアノブを回し、

腐敗した酒気に身を溶かす。

きみは軋む床に沈む妹にそっと目を落とし、

次いで周期的な轟音に埃を落とす義父を視た。

この家にソファがあったということに、今更気が付いたのだろうか。

かれはずっと義父を見ていた。

そして静かに、足元を黒く濡らした。







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