雰囲気だけは良い二人
春嵐
第1話
「そこに置いとけ」
「うす」
ようやく届いた。日本製の、新しい賭場台。
「いい出来じゃねえか」
「そすね。木目の感じが落ち着いてる」
街の、賭場を仕切っている。
裏の顔役というやつだった。別に、なりたくてなったわけじゃない。学校に通っていなかったので、他にあんまり将来のルートがなかっただけ。特に、後悔もしてない。
「賭場にすぐ配備しますか?」
「ううん。ちょっと待つか。今は今で調度品いい感じだし」
「うす。事務所隣の倉庫に置いときますね」
「たのむよ」
部下。賭場台を持って事務所を出ていく。
「ふう」
この町は、お
だから、賭場もあるし、未認可の薬品も出回ったりする。
「置いてきやした」
「ありがと」
事務所。
町の裏側といっても、賭場と薬の制御が基本的な仕事だった。
「ちょっと出てもいいすか?」
「どした?」
「南地区の
こうやって、賭場に来ない老人を気遣うようなこともする。
「俺が見てこようかな」
「顔役が?」
「警察沙汰になるかもしれんし」
「そすか。じゃあ、俺は賭場掃除してきます」
「おう。頼むよ」
さて。
今日も行くか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます