第26話 新たな世界へ

 霧の向こうに映る帆船を認め、思わずしげしげと観察する。

 あの辺りには、海も河川も無い。と、すると。

 船上に蠢く人々の影に、口の端が上がる。

 あの船はおそらく、この『禁域』に囚われた人々を次の場所に運ぶ船。自身の任務にも、終わりが見えてきた。消えゆく影に、なつは大きく手を振った。

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