第6話 チェスの思い出

 書斎の隅に置かれたチェス盤は、おそらく父のもの。

 しかし父がチェスをしているところを、ゆうは一度も見たことがない。父と自分がチェスで遊んだ記憶も。

「チェス、やってみますか、尤様?」

 やりたいけど、ルールが分からない。背後から響いたなつの優しい声に、尤は小さく頭を振った。

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