第2話 窓を染める吐息

 吐いた息が、書斎の窓を白く染める。

 袖で拭いた窓の向こうに映る、褪せた緑の中に鮮やかな黄色と赤が見える山々に、ゆうは再び窓を白く染めた。

 身体が弱いから、外に出ることは叶わない。そのことは、既に理解しているし、諦めてもいること。でも。心を静めるために、尤は視線を手元の本へと戻した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る