捜査なし推理なし刑事ドラマのポトフ(夕喰に昏い百合を添えて3品目)/広河長綺

作品名:捜査なし推理なし刑事ドラマのポトフ(夕喰に昏い百合を添えて3品目)

作者名:広河長綺

性癖:可愛い女の子が、無邪気に笑いながら狂気に満ちた言動を繰り返す。その女の子の友人はその狂気を肯定している。

性癖:モラルが「可愛い」によって否定される

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354055396090412


 12歳の天才彫刻家と、天才彫刻家が犯した殺人を追い詰める女刑事の話。


 題名にもある通りに捜査も推理も無しでいきなり追及シーンから始まるのですが、ここは性癖小説選手権なので全然問題無し。魅せ付けたいシーンだけを書き上げるのは寧ろ推奨です。

 内容としては殺人を犯した12歳の彫刻家を追い詰めて最終的に正当防衛で女刑事が彫刻家を撃ち殺すんですが、その『撃ち殺す』という行為が芸術家の製作工程の一つであり、自身を撃ち殺した女刑事の陶酔やら義務やら背徳やらのごちゃ混ぜになった感情の笑顔が最後の作品だという大変に狂気に満ちた作品。これを12歳で行うんだから間違いなく天才ですね。理解出来る人は少ないでしょうが、私は肯定しましょう。君はやりたい事をやって死んだんだ。それはとても幸せな事なんだよ。

 性癖紹介に書かれている二つの性癖は主にこの12歳の天才彫刻家にかかってくるのですが、女刑事に対する『価値観の変貌を伴う洗脳行為』みたいな部分にも性癖を感じました。自分はこういう人間でこういう正しさを持っていると信じている人に対して「あなたはこういう部分もあるんだよ」と教えてあげる優しさ。それが本人にとって良い事か悪い事かは別にして、善意でこれを行ってしまうのも狂気に満ちた部分でとても良いですね。12歳なのに母性を感じちゃいます。そりゃ聡くんも信者になっちゃいますよ。聡くんも作品の一部に慣れて幸せだなぁ~。

 後、百合属性ありますよね、これ。百合というか、愛を超越した超人に対する亜小柄から来る心酔みたいな感じの百合。女刑事さんはこれから自分が作品になれた事に喜びながら心酔相手を撃ち殺してしまった事に悲しみを覚えてぐっちゃぐちゃになるんでしょう。でも仕方ないね。そういう相手に心酔しちゃったんだから。


 まだ小説を書く事に慣れていない様な印象を受けましたが、それでも自分の性癖を表したいという一生懸命な思いが伝わってくる作品でした。

 性癖小説は一般の大多数には受けなくても必ずどこかの人に需要がある物です。このまま性癖を曝け出して良い作品を作り続けて下さい。応援しています。

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