作品名：look on me

作者名：上村みなと

性癖：百合

性癖：女同士のクソデカ感情

性癖：立場逆転

性癖：勝手にメス堕ち

性癖：黒ストッキング

　自分を完璧な才女と思い込んでいた実際に実力のある女性が、自分より劣っていると思い込んでいた自分だけが認める女性にクソデカ感情を持つ事になる話。

　全編が丸々主人公がクソデカ感情を持つに至る理由を丁寧に説明してあり、後編でそのクソデカ感情を爆発させて才女からメスへ転向させるという、とても分かりやすい二部構成。

　対象である女性どころか周囲の誰にも内心のクソデカ感情について相談しておらず、読者だけがその危うい心理状態を知っているまま進んでいくのが期待と不安でドキドキしました。

　そして爆発してからの暴力と甘え。今まで完璧を装っていたから甘え方を知らなかったんですね。器用なのに不器用な莉花ちゃん。読者からは気持ちは分かるけど、かなめちゃんはどうやって接したらいいか分かんなくて混乱してたよ？

　かなめちゃんもかなめちゃんで勝手にクソデカ感情を持ってて、お互いに物理的な距離は近くてベクトルも向かい合っているのに踏み出すのを恐れていたから爆発させてしまった訳なので、これからはちゃんと腹を割って話し合うといいですね。ピロートークとかで。

　最初に『百合』ありきで、終始『女同士のクソデカ感情』という性癖に一貫していて、最後の『立場逆転』と今までの積み重ねで『勝手にメス堕ち』しているという流れる様な性癖のうねりから、作者がこういう性癖が好きなんだなぁと伝わってきて良かったです。

　ただ、黒ストッキングの描写はちょっと足りなかったのではないかという感じは否めません。足が絡み合った時に触れた時のとか、黒い足という表現とか、とても黒ストが好きなのは伝わったのですが、その黒ストへの性癖を読者に引かれないかを心配して控え目な表現で止めてしまってませんか？

　せっかくの性癖を披露する場なのですし、もっと乱暴に脚を絡ませるとか手でまさぐるとかで黒ストッキングの質感を肌で感じる描写を細かく表現しても良かったでしょう。

　クソデカ感情百合小説としての性癖力が高く良い作品でしたが、もっと他の控え目になってしまった性癖を見てみたいと思いました。まだまだ細かい性癖を隠していらっしゃいますね？

　怖がらずに性癖を曝け出していいんですよ？素直になりましょう。ね？

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