DeathGaze@world online.ver 4.0

小波ここな

第1話 デスゲイズ登場!

「かったりー!やーってらんねーぜ」


 寝室からあがる奇声。

 声の主は、悪魔ヤカーンの王子デスゲイズ。彼は面倒くさい事を言い続けた部下に対していつものぼやきをかました。

 

「しかしですな。水の賢者を滅ぼさねばなりません」


 部下の高級悪魔ハイクラスヤカーンアーガムが、デスゲイズに対して苦言を言いながら、ベッドから引きずり出してゆく。


「おまえ、こんなに強いなら一人で行ってこいよ!」


「何を言われますか、あなたこそ本気を出せば最強の悪魔ヤカーンではありませんか」


 高級悪魔ハイクラスヤカーンアーガムは複数の強力な触手で、デスゲイズを無理やり戦いの場所へ運び出した。

 そこには数千からなる悪魔ヤカーンの群れが大挙しており、デスゲイズを見ると歓声が起きた。

 

「はっはっは。いやーみんな。おまた」


 デスゲイズは少しだけやる気が出て、仕方ないなぁと武器や防具を整えて、水の賢者との決戦に向かった。


 水の賢者は1人で数千からなる悪魔ヤカーンと戦ってヘラヘラ笑っていた。


「弱い!弱すぎるぜ。悪魔ヤカーンどもめ!」


 これを見たデスゲイズは危うく失神しかけたが、高級悪魔ハイクラスヤカーンアーガムが喝を入れて彼を起こした。


「デスゲイズさま。賢者は我が引きつけます。隙が出来たらとどめを」


 高級悪魔ハイクラスヤカーンアーガムが盾になると分かるやいなや、デスゲイズは水の賢者を挑発した。


「ほっほう?ばかな奴がいるなぁ?かかってこいよ」


「なんだと?!このクソガキャああああああああ!!」


 水の賢者はデスゲイズに挑発されて、背中の剣を抜き放った!


"氷の波動がデスゲイズに襲いかかり!"


 デスゲイズは体の半身が凍てついた!

 

 しかし、瞬時に高級悪魔ハイクラスヤカーンアーガムが彼を癒やし凍てついた体は修復された。


「何、お前。回復系なの?」


「戦いはデスゲイズさまにお任せいたします」


「ざっけんじゃねーし!!あんなの倒せるわけねーだろーが!」


 下がる悪魔ヤカーンたちの士気。


「かかってきやがれ悪魔ヤカーンどもめ!皆殺しにしてやるぜ!」


 下がる悪魔ヤカーンたちの士気。


「お前も戦え!ルーシャ!他の弟子ども!悪魔ヤカーンを根絶やしにしてやるぜ!」


 水の賢者に言われて、弟子たちが悪魔討伐に加わり、紅一点ルーシャという名の少女が賢者の盾になる。


「あ。あいつなら倒せそうかも•••」


 デスゲイズは弱そうなルーシャを見て、悪魔ヤカーンの士気をあげるため、あらためて賢者を挑発した!


「かかってこいよ!よわっちーやつ」


「なんだと!このクソガキャあああああああ!」


 改めて挑発された水の賢者は再び剣を振り回そうとしたが、高級悪魔ハイクラスヤカーンアーガムの長い触手が剣を絡め取り、無力化された。

 

「よくやった!アーガム!」


 デスゲイズは走り込みルーシャを奇襲した。

 ルーシャは突然の逆転劇にオロオロしながらショートソードを抜いた。


「くらえ!!ほぅわぁ!」


"デスゲイズは抜刀してルーシャを一撃!"


 ルーシャは強撃の痛みから気絶した!


 高級悪魔ハイクラスヤカーンアーガムと水の賢者が戦っている間に、デスゲイズはルーシャを人質にして、空飛ぶ船に帰還しながら水の賢者に怒鳴りつけた。


「この娘はいただいてゆくぞ!愚かな男よ!賢者とは片腹痛いわ!クックックッ。ハーッハッハッ!」


 これを見た、高級悪魔ハイクラスヤカーンアーガムは水の賢者から離れ、デスゲイズの元へ戻って行った。


「ちくしょう!悪魔ヤカーンどもめ!おれの奴隷を返しやがれ!!」


 地団駄を踏む水の賢者は、しばらくして奪われたのがルーシャだと気づいて顔色を変えた。


「やべえ。旦那に報告しなきゃぁ。いやいや!駄目だ!隠すんだ!ルーシャが奪われたと旦那が知ったらおれが殺される」


 水の賢者は他の弟子を怒鳴りながら屋敷に戻り対策を練り始めた。



 空飛ぶ船に戻ったデスゲイズは、何で高級悪魔ハイクラスヤカーンアーガムが帰還したかたずねた。


「我一人では無理でございます。デスゲイズさま」


「うそつけ。お前一人で充分だぜ」


 デスゲイズは悪魔ヤカーンたちに向き直り戦果を報告した。

 勝どきを挙げさせ、寝室にルーシャを連れて行った。


「さて、よく来たな。人間の娘よ」


 デスゲイズはルーシャに対しておごそかに口を開き手をかざした。


「アンタって•••」


「なんだ。娘よ•••」


「本当に悪魔ヤカーンの王なの?なんかえないわね」


 言われたデスゲイズは怒りながらルーシャに言い返した。


「うるさい!人間の女風情おんなふぜいが!」


「ふぜいとは何よ!許さないわ!」


"ルーシャはグーパンチでデスゲイズのこめかみを強撃!"


 デスゲイズは失神した!


「ふっ。私にかかればこんなもんよ。さて、どう逃げようかしら」


 ルーシャは逃亡するプランを考え始めた•••。





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